ビッグフライ、サトウサン! 阪神佐藤輝明内野手(24)が、秒速の先制15号ソロで打線を勢いづけた。0-0の2回の先頭打席。カウント2-2から巨人先発横川の143キロ直球を完璧に捉えた。外野手はほぼ定位置から動かず、G党もただ眺めるだけの弾丸打球は、右中間席中段に飛び込む120メートル弾となった。

「追い込まれていましたが、強くスイングすることを意識していました。しっかり自分のスイングができたと思いますし、最高の結果になってよかったです」

着弾まで約5秒の弾丸ライナー。エンゼルス大谷の代名詞となっている秒速のビッグアーチを見届けた場内は少し間を置いてざわめいた。ぼうぜんとする横川を横目に、佐藤輝は笑顔で生還した。牙をむいた規格外スラッガーの本領を、「伝統の一戦」で発揮した。

指揮官のハッパにも応えた。前日25日も2安打2打点で勝利に貢献。だが、岡田監督は「もうちょっといい内容やったら、明日そのまま5番でいこうと思ってた」と左腕の今村相手に凡打した最後の打席内容を厳しく指摘。そして左腕が先発だったこの日の打順は5番から6番に降格。奮起を促された試合で課題の左腕を打ち、男の意地を見せた。指揮官は「5番でも打ってたかなあ。でも分からんわ、結局な」と苦笑いだったが、結果的に降格作戦がハマって目じりは下がる。

もう左も苦にしない。23日の中日戦(京セラドーム大阪)では小笠原から14号。左投手からの1発は、昨季20本中5本。15本目で昨季と並ぶ5本目に到達し、この日も左腕を打ち砕いた。「右も左も打率はそんな変わらないけど、ホームランを打ったのはよかった」。7試合連続安打で、月間打率も3割台に上昇。「(打撃は)良い感じです。もっと打ちたいですね」。痛快G倒を演出した背番号8がさらなる爆発を誓った。【三宅ひとみ】