日本ハムは“球界のエース”オリックス山本由伸投手(25)の前に7回を散発4安打に抑えられ、今季14度目の完封負けを喫した。終盤も継投にかわされ、5度の得点機を生かせず。3試合連続完投で自己最多に並ぶ11三振を奪った先発の伊藤大海投手(26)を援護できなかった。これでチームはオリックス戦8勝12敗1分けとなり、2季ぶりの勝ち越しの可能性はなくなった。

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試合開始から、わずか5分で失った1点が、最後まで重くのしかかった。伊藤は自己最多に並ぶ11奪三振も、116球の力投も報われず、8敗目。1回、先頭打者に二塁打を許し、1死二塁から左前適時打を浴びた。2回以降の出塁は、味方の失策による1人だけ。それなのに、21年東京五輪、今年のWBCと侍ジャパンでチームメートだったオリックス山本との投げ合いに、0-1で敗れた。

伊藤は「要所要所で1点もやらない姿が日本一のピッチャーだと改めて思った。そういうところで、僕があげた1点が余計に悔しい」と“球界のエース”との“差”を指摘。「いい投げ合いでしたけどね」と悔しがった新庄監督は「伊藤君の方が内容としては上回っていたような気もしますけど」としながらも「スコアリングポジションに(走者が)行ってからの山本君のギアの上げっぷりは、やっぱりさすがでした」と、脱帽だった。

打線は相性を重視し、2年前に東京ドームで山本から本塁打を放った王柏融を5番に据えた。球界復帰へ向けて勉強中だった時に、王柏融の1発を映像で見て「わあ~、こんな速い球、よう完璧に捉えるな」と印象に残っていたという。2回の第1打席で速球を右前打、4回は四球を選んでチャンスメークと期待に応えてくれたが、ホームが遠かった。

本拠地での連勝は7でストップ。「チャンスは結構あったんですけど、あと1歩が難しい投手だった」と指揮官。投手力の壁に阻まれ、21年以来のオリックス戦勝ち越しの可能性はなくなった。【中島宙恵】

▽日本ハム伊藤(9回2安打1失点、自己最多に並ぶ11三振も負け投手に)「(失点した)初回がもったいなかった。状態自体は悪くなかったので、いい感じで投げられた」

▽日本ハム建山投手コーチ(伊藤の投球について)「言うことなし。ゲームの中でうまく修正して入れていた。7、8回ですいすいと行ったところも良かった」

▽日本ハム八木打撃コーチ(散発5安打無得点に)「走者は出ていたし、そこで(上川畑)大悟のセンター前(投ゴロ)も運がなかったり。清宮、万波の調子も早めに上げられるようにしないと」

▽日本ハム松本剛(4試合連続安打も9回2死一、二塁で右飛)「(伊藤)大海がめちゃめちゃ良かったし、野手が何とかって思っていたのですが、結果的に点が取れなかった」

▽日本ハム王(エスコンフィールド4試合連続安打)「最高のピッチャー(オリックス山本)から打てて光栄です。たまたま甘い球をしっかり捉えられた」