制球難を乗り越えての初勝利だ。阪神大卒2年目の岡留英貴投手(23)がプロ初勝利をつかんだ。

4回から2番手で登板。1回1/3を1安打1失点で、リードを保った。「実感はわかないです、意外に。親からもLINE来てたので、それがうれしかった」。実家へ送る予定のウイニングボールを手に、岡田監督と笑顔で記念撮影した。

4回、先頭の4番堂林には外角低めへ大きく曲がるスライダーで右飛。続く秋山にはカットボール、ツーシームを低めに集め左飛に仕留めた。江草2軍投手コーチが「イップスの手前くらいだった」と振り返る春先とは、まったくの別人に成長していた。

今季は1軍春季キャンプに初抜てき。だが2月18日の練習試合DeNA戦で制球が定まらず、わずか10球で降板。翌日に2軍に降格した。「自分でも正直その時は、いろいろ分からなくなっていた。修正できるかも分からないくらいの感じだった」。投げたボールが打者の背中を通過することもあった。気づけば、無意識にこれまでできていた事もできなくなっていたという。

そこから1週間ノースロー。苦しい状態の中、「メンタル面は自信から修正できる部分。技術の所を修正しました」と前を向いた。遠い距離でのキャッチボールから徐々に再開。トレーニング内容や体の感覚から見直し、気づいたことにはメモも取った。「そういう状態になった時、修正できる所を1つずつ見つけてきた」。また悪い状態に戻らないため、覚悟を持って取り組んだ。

4月8日の2軍オリックス戦で実戦復帰し、2軍戦21試合に登板。防御率1・59で6月23日に今季初昇格した。そこから1軍8試合で、四死球は1。制球難のイメージを強く持っていた指揮官も「最初に比べたら経験も積んでなあ、落ち着いたんちゃうかな、だいぶな。自分のボール投げるようになったからな」と評価した。加治屋、石井と右の中継ぎに不安が残る中、ポストシーズンにも期待がかかる。どん底からはい上がったサイド右腕に2月の面影はない。【波部俊之介】

■馬場、3回2失点CSへ調整

5年ぶりに先発した阪神馬場が3回4安打2失点で降板した。ブルペンデーとなり、1年目の18年以来の先発。1点リードの3回1死一塁で小園に浮いたカーブを捉えられ右翼越え2ラン。「(まっさらのマウンドに)気持ちよかったですね。自分のピッチングできたので、全然よかった」と、ポストシーズンへ調整を続ける。

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