日刊スポーツの名物編集委員、寺尾博和が幅広く語るコラム「寺尾で候」を随時お届けします。
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スポーツ選手、著名人の功績、名勝負などを語ることで知られる山田雅人が芸能生活40周年を迎えた。「かたりの世界」の手始めになったのは、08年に放送作家の高田文夫から「長嶋茂雄対稲尾和久」対決の再現を依頼されたことがきっかけだったという。 長嶋ファンの高田から「お前、これで食っていけるよ」と名付けられたのが“話芸家”の肩書だった。独自のルートで情報収集し、自分の足で取材しながらストーリーを描く。そこに心を乗せて語る迫真のトークで聴衆を引きつけてきた。 テンポイント、ハイセイコー、オグリキャップを語ったかと思えば、松井秀喜、高橋尚子、吉田沙保里から、松下幸之助まで語り尽くす。「江夏の21球」「王貞治物語」など、持ちネタは計130パターンを数えるというから驚きだ。 その山田がこのほど、40周年のメモリアルに招いたのが、阪神大物OBの掛布雅之だった。山田は「ぼくは言葉の力をすごく信じているんです」という。掛布もまたそれを大事にしている人なのだろう。「言葉を発するタイミングが絶妙です」と絡んだ。 古巣の阪神がリーグ優勝、日本一を遂げた今オフ、掛布も話題の人になった。現在OB会長を務める川藤幸三から次期会長就任の打診を受けた。 「(スポーツ紙の1面掲載は)現役時代の“掛布頼み”を思い出しましたよ。だって(取材も)“困ったときの掛布”でしたからね」 “ミスタータイガース”は、人気チームで「4番」の看板を背負う立ち位置を約900人の入場者に打ち明けた。打って当たり前、チャンスで凡退したら「4番」の責任。それが掛布の宿命だった。 掛布は前々から、ラジオ解説などで大山について「4番は好不調の波を小さくしないと。そのためにはボールの見極めが大事です」と注文をつけていた。全試合で4番に座ったことには「4番で日本一だから立派でした」と評価した ただシーズン99四球の数字には「あれだけフォアボールを選んだのだから、打率は3割に乗せないといけなかった」という。打率2割8分8厘、19本塁打、78打点。山田の「かたりの世界」では、掛布だけでなく、同じ4番だった田淵らもネタになっている。大山が打力を上げてレパートリーに入ってくれば、トラは安泰に近づくのかもしれない。(敬称略)【寺尾博和】



