ソフトバンクがラッキーボーイの一打で連敗を止めた。1-1の6回2死二、三塁で石塚綜一郎捕手(23)が左前に決勝の2点適時打。8月21日の楽天戦では2軍再調整が決まっていながらプロ初本塁打を放ち、後日に体調不良者が出て1軍に残った。育成出身の“持っている男”が勝利を呼び、優勝へのマジックナンバーは2つ減って17となった。

   ◇   ◇   ◇

執念だった。石塚の放った打球は遊撃手と左翼手の間にふらふらと上がる。「今まで本当にチャンスで打てなかったので。『落ちてくれ』と思って」。1-1の6回2死二、三塁。メルセデスの直球を左前に落とし、祈りは実った。

一塁ベースに到達すると、即座に赤いバッティング手袋を指さした。「その力だったのかなと思います」。普段から使用する白い手袋は1、2打席目で汗まみれ。困っているところに高谷バッテリーコーチが「貸そうか?」と手を差し伸べてくれた。「高谷さんには『本当にありがとうございます』と思いました」。この一打が決勝打でなり、連敗ストップ。高卒5年目の23歳は笑みを浮かべ、担当コーチに感謝した。

“持っている男”だ。7月末に育成から支配下昇格。8月21日の敵地楽天戦では試合前に2軍再調整が決まっていながらプロ初安打、初本塁打まで記録した。「爪痕は残せたと思います」。地元東北で記念球を手にしたが一転、石塚に代わって昇格予定だった中村晃が発熱。石塚にとっては幸運にも1軍同行が継続した。「僕は与えられたところで結果を残すだけですし、これからもずっとそうです」。ラッキーボーイがヒーローだった。

小久保監督はかつて「巡ってきたチャンスを生かせるか」と話したことがある。2軍降格から「延命」した石塚について「打席の対応を見たら可能性を感じる。育成から支配下になって『この1打席に』という思いは、今いるメンバーでは断トツに上の方」とうなずいた。プロ初出場から8試合で15打数4安打、1本塁打、3打点。右の大砲候補が奮闘している。

2位の日本ハムが敗れ、優勝マジックは2つ減って17となった。8月は14勝11敗で貯金3。指揮官は「7、8月は苦しんでいますけど、マイナスじゃないところは評価できます」と語った。いよいよ9月、優勝へのラストスパートに挑む。【只松憲】

【関連記事】ソフトバンクニュース一覧