阪神近本光司外野手(29)がセ界初の屈辱を土俵際で阻止した。
DeNA3投手の前に無安打無得点で迎えた9回裏。1ストライクから守護神森原の2球目、134キロフォークを左前に運んだ。「どの打席もやることは変わらない。結果的にヒットになったので良かったです」。その瞬間、甲子園全体が安堵(あんど)の大歓声に包まれた。
第3打席までDeNAの先発右腕、吉野の直球に苦しめられた。初回は空振り三振。3回と6回は140キロ台中盤の直球に差し込まれ、外野フライに倒れた。それでも最後は技ありの1本を決め、反撃ムードを呼び込んだから、さすがだ。
チームは今季5月24日の巨人戦(甲子園)で戸郷にノーヒットノーランを食らっている。シーズン2度目のノーノー献上ならセ・リーグ56年ぶり2度目、継投ノーノーとなればセ・リーグ史上初の記録となっていた。虎党の脳裏に悪夢がチラつく中、頼れるリードオフマンが立ちはだかった。
これで今季159安打。この日は試合がなかったヤクルト長岡秀樹に再び並び、最多安打のタイトル争いもいよいよ最終章に突入だ。
「そこは誰かと競うと意識するよりは、自分のバッティングをできるかどうかなので。自分のできることをやるしかない。最後まで自分の成績を意識しながらできるのは、なかなかなかった。楽しみながら頑張りたいと思います」
勝負の世界さえ楽しんでしまう。安打製造機の奥は深い。【村松万里子】



