ソフトバンク秋山幸二監督(46)が4年目の本多雄一内野手(24)に「イチローになれ」指令を出した。3日、天然芝に感触が近い新人工芝を敷いた本拠地・福岡ヤフードームでの初練習が行われた。秋山監督はイチローを例えに出し、芝が長くなったことにより内野安打の増加を予言。川崎と上位打線を組む本多に期待を寄せた。機動力を軸とした攻撃野球をもくろむ秋山ソフトバンクに、新人工芝が強い味方になる。

 新しい人工芝を踏んだばかりのソフトバンク秋山監督の視線の先に「安打製造機」の姿が映った。この日から球場は「新装開店」。天然芝に感触が近いとされる新人工芝に変わった。選手がウオームアップしている間、入念にマウンド周辺やホームベース付近を踏みならしていた背番号「81」が、自ら切り出した。

 秋山監督

 打球が死ぬんじゃないかな。内野安打が増えるだろう。イチローのときみたいになると思うよ。神戸(スカイマーク)が天然芝になったとき、それまでアウトだったものがセーフになっただろ。本多に期待?

 ポンちゃん(本多の愛称)ね。そうだよ。

 スカイマーク球場に内野まで天然芝が敷かれたのは00年。当時オリックスに在籍していたイチローは、前年15個の内野安打を29個と「倍増」させた。秋山監督は機動力を生かしたスタイルを目指し、オープン戦初戦から積極的にエンドランなどを仕掛けた。キャンプでは全選手にバント練習を義務づけるなど1点へのこだわりも見せてきた。昨季チームトップの29盗塁を稼いだ本多に「イチロー化」を望むのも、うなずける。

 森脇ヘッドコーチの言葉も秋山監督の思いを裏付けている。「ウチにはホームアドバンテージがある。相手ができないプレーができる可能性は当然高くなる。本多は年々三振を減らしているし(今季はさらに)内野安打が増えるだろう」と言い切った。

 長い芝に食われる打球の失速具合を打撃練習でチェックした本多も、特長を生かすつもりだ。「(オープン戦は)基本的には打っていきたいけれど、チャンスがあれば(セーフティバントを)やっていきたい」。昨年、本多は主に1番として出場。今季も川崎を2番に携え「不動の1、2番コンビ」を組む予定だ。本多の昨年の内野安打は29個。イチロー同様、その内野安打が倍増となれば、機動力を前面に押し出す秋山スタイルが、大きな花を咲かせるのは間違いない。【松井周治】

 [2009年3月4日9時58分

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