<関西独立リーグ:神戸5-0大阪>◇27日◇京セラドーム大阪

 国内3番目のプロ野球の独立リーグとなる関西独立リーグが開幕し、男性に交じってプレーする日本初の女性プロ野球選手、神戸の吉田えり投手(17)が初登板した。吉田は5点リードの9回裏、2番手で登板。打者2人に9球を投げ、無安打1四球1奪三振。試合は5-0で神戸が勝った。吉田の次回登板は4月5日の明石とのホーム開幕戦(スカイマーク)が想定されている。

 ナックル姫のフィニッシュは直球だった。9回裏無死二塁。吉田が左の代打古屋隆行(22)を球速99キロの直球、ナックルでカウント2-0と追い込む。その後、ナックルは2球続けてボール。勝負の5球目は97キロの直球。高めのボール球を振らせ、三振を奪った。

 9回裏から登板すると、先頭の大阪5番指名打者、平松陽介(25)には、全球ナックルで勝負した。だが、ストライクが入らず、ストレートの四球。中田良弘監督(49)がマウンドに走り「もう1人投げるか?」。吉田は「いきます」と志願した。盗塁を許したが、打者に専念した。「ボール(球)で三振は自分の中では喜んではいけないかな、と思ったんですけど、結果オーライかな」と笑った。

 中学3年の夏に軟式野球部を引退後、父勇さん(45)と二人三脚でナックルを学んだ。「ナックルでここまで来たんで、全部ナックルでいきたかった」。だが連投してストレートの四球に若林捕手から直球のサインが出た。「悔しかった。まあ、ナックルだけにこだわるんじゃなくていいかなとも思った」と話した。

 16日のキャンプ最終日に右肩痛を訴え、24日の練習試合での実戦登板を回避した。中田監督は「本当は(開幕登板は)無理だと思っていた。ちょっと無理させちゃった」という。

 吉田がマウンドに向かうと1万1592人から「あんたを見にきたんや~」と声が飛んだ。吉田は「もっと、もっと安定する下半身つくって、長いイニングを頼られる投手になりたい」という。中田監督は次回登板を4月5日の本拠地開幕(明石戦、スカイマーク)に想定している。ナックル姫の冒険が始まった。【村上久美子】

 [2009年3月28日7時42分

 紙面から]ソーシャルブックマーク