首位を走る巨人原辰徳監督(50)が20日、いまだ勝ち星ゼロの内海哲也投手(26)に「侍スピリットはないのか」とゲキを飛ばした。3試合で0勝1敗、防御率5・06と、ピリッとしない投球が続く左腕を黙って見過ごすわけにはいかなかった。もちろん期待するからこその「愛のムチ」。22日のヤクルト戦(佐賀)に先発させる予定だが、「強い侍」になることを願っている。

 原監督の表情は穏やかだったが、言葉は厳しかった。移動日のこの日、遠征先の名古屋で口を開くと、自然と内海の話題になった。

 原監督

 「侍スピリット」はないのか。今のままなら「ニセ侍」だ。

 WBCでサムライジャパンの一員でもあった左腕に対し、原監督が叱咤(しった)した。グライシンガー、高橋尚と3本柱の1人。3連覇へ突き進むチームの中で、投手陣を引っ張る立場にある。ところが、ここまで3試合に先発して白星なし。先発陣で唯一、勝ちがない。

 今季初登板となった4日の広島戦こそ、7回途中1失点にまとめたが、10日の阪神戦は6回に打球を受け降板。16日のヤクルト戦では、1-1と同点の5回に先頭から連続四球を与え、最後は3ランを浴びた。自滅とも言える内容。指揮官は「彼が今、置かれている立場をどういうふうに考えているかでしょう。どう思ってマウンドに上がるかを見たいね」と注目した。

 厳しい言葉は、もちろん期待の裏返しだ。原監督は「先発は完投できる能力のある人を選んでいる」と言った。昨季、阪神戦4勝を含む12勝を挙げた。最大13ゲーム差をつけられた阪神に逆転優勝した立役者。今年も内海がやってくれなければ困る。その気持ちがゲキとなって表れた。

 内海はこの日、川崎市内のジャイアンツ球場でブルペン入り。直球、スライダー、チェンジアップと、指に掛かった球を放り、明日の先発へ調整した。上体が突っ込む悪癖も修正。原監督の言葉を伝え聞くと「任せてください。1回も2回もチャンスはない。次がラストチャンスだと思って投げたい。万全で行かないといけません」と言い切った。真の侍は、ここぞの場面で刀を抜く。左腕エースの侍魂は、熱い闘志で燃えていた。【古川真弥】

 [2009年4月21日8時49分

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