<広島6-3ヤクルト>◇14日◇マツダスタジアム

 野村カープが初の連勝じゃ!

 ヤクルトに2点を先制されたが、梵英心内野手(29)が4回に豪快な2ランで追撃、代打ジャスティン・ヒューバー内野手(27)の同点弾に続いて、6回には内野安打で出た梵が盗塁を決めて敵失で勝ち越しのホームを踏んだ。投げては先発斉藤悠葵投手(22)が苦しい投球ながら6回3失点でまとめ、今季初勝利をマーク。さあ、15日も勝って次は最下位脱出だ。

 梵の顔は笑っていた。3点を追う4回、ヤクルト石川から放った今季1号2ランが、逆転劇ののろしとなった。カウント1-1から内角寄りに来たカットボールをジャストミート。糸を引くような打球は、左翼スタンド後方の通路まで届く推定飛距離130メートル弾。「甘い球を1発でしとめられてよかった。打撃練習でもないような当たりだったので、走っている最中に笑っちゃいました」と、ヒーローはまた笑った。指揮官も「梵の1発がチームに勇気を与えた」と絶賛した。

 6回には、ヒューバーのソロアーチで同点となった後、1死から遊撃内野安打で出塁すると、広瀬の8球目に果敢に盗塁を仕掛け、見事成功。左腕石川のけん制やクイックをかいくぐった。「なかなか走れる投手ではないので、思い切って走りました」と梵は満足げに振り返った。

 その直後、広瀬の左中間への打球を左翼・飯原が落とし、勝ち越しのホームを踏んだ。これが決勝点となり、チームは今季初の連勝だ。

 06年の新人王も、昨季は2軍行きを命じられるなど苦しい思いをした。巻き返しを誓って臨んだ今季は、開幕から「2番遊撃」を任されている。犠打や進塁打など、慣れない役回りを必死にこなしている。打率は2割5分5厘、盗塁もこの日で4個だが、野村監督は「彼にはいやらしさを求めている。盗塁も本人に任せている」と全幅の信頼を置く。「自分が盗塁できなくても、その分(味方の)打者に有利になりますし、それがチーム力になる。地味な役割ですが、それができれば楽しいんです」と梵もやりがいを感じている。

 助っ人コンビがそろって打点を挙げ、栗原にも2試合連続で適時打が出た。守護神永川が故障で離脱したが、チーム一丸でさらに勝利を目指す。【高垣誠】

 [2010年4月15日11時0分

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