<オリックス10-6阪神>◇21日◇京セラドーム大阪

 真弓阪神と岡田オリックスによる注目の「関西ダービー」初戦は壮絶などつき合いになった。オリックスがフォッサムの乱調に乗じて3回までに大量8点を奪えば、阪神も5回に桜井、葛城の連弾などで一挙6点の猛反撃。最後は「勝利の方程式」継投を持ち出したオリックスが逃げ切ったが、3位転落の真弓明信監督(56)は静かに怒り、勝った岡田彰布監督(52)もテレビカメラの前でブチ切れ!

 意地と意地のぶつかり合いが、誰も予想できない大乱戦を呼んだ。

 乱打マッチでまず笑ったのは岡田監督だ。1回に後藤がフォッサムから先制の2ラン。制球の定まらない阪神先発から2回には5四死球、暴投と、ぬれ手で粟(あわ)の3点が転がり込んだ。3回で8点と大差。かつては喜怒哀楽をともにした虎党の悲鳴をBGMに、岡田監督は一塁ベンチで白い歯を浮かべていた。

 金子千は4回まで完全投球。オリックスのワンサイドゲームと思われた矢先、たった1個のゴロで試合が変わった。5回。先頭新井のゴロを三塁手バルディリスがはじいて、反撃のランプが点灯する。金本、城島の連打でまずは2点。1死からは桜井2ラン、葛城ソロと連続アーチだ。金子千を降板に追いやり、目覚めた打線は2番手香月も打ち、一挙6点の猛攻。2点差に詰め寄り、虎党の応援も息を吹き返した。

 岡田監督の応戦は、虎将時代から得意とした継投策だった。阪神対策で2人も呼び寄せた左腕リリーフのうち菊地原を6回のピンチでブラゼルへワンポイント投入。さらに平野(H)岸田(K)ジョン・レスター(J)と交流戦用に確立した「勝利の方程式

 JHK」を持ち出し、逃げ切った。ともに6投手を使ったガチンコ対決は合計16得点の末、オリックスに軍配。真弓が泣き、岡田が笑う結果となったが…。

 岡田監督は怒りの炎を燃え上がらせた。会見場に今季初めてテレビカメラが入ったが、マイクめがけキレキャラ全開だ。「不思議なゲーム。勝った気はしない。考えられないですね。(金子千は)どれだけ開幕からエースとして投げているの。5回であの点差になって、もっと楽にしないとですね」。古巣との初対決を問われると、さらにブチッ。「阪神?

 そんなん全然見てない。自分とこで精いっぱいです」。普段の関西弁ではない標準語で、怖さは数段アップした。

 1度は盛り返したものの、10失点の大敗に真弓監督は胸の内で燃える怒りを静かな口調に隠した。「とにかくチャンスがあれば、我慢して追いつくしかない。そうじゃないと、あれだけ先に点を取られてはね」。

 昨年の真弓監督は解説者だった岡田前監督から辛口コメントを浴び続けた。昨秋のオリックス監督就任後も「矢野がほしい」「今岡をさらし者にするな」「阪神より優勝できる確率は高い」など挑発的な発言があった。古巣対決、名前が同じ「アキノブ対決」…。本人たちの意図とは別に周囲はマッチアップに過熱。両監督は試合前から平静を装いながらも、負けたくない意地がぶつかり、一歩も引かない乱打戦を演じた。

 見ているファンにはたまらなく面白い展開だが、両軍ベンチの指揮官はどちらもすっきりしない静と動の怒りを引きずった。22日は第2ラウンドに突入するが、何が起きるか分からない。【押谷謙爾】

 [2010年5月22日10時57分

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