<中日7-6ロッテ>◇5日◇ナゴヤドーム

 中日に孝行息子が出現した。7年目の中川裕貴外野手(25)がプロ初本塁打となる同点2ランで逆転勝利の立役者となった。2点を追う4回1死二塁、ロッテ先発吉見の初球だった。真ん中直球をたたいた打球は左中間スタンドへ。「前の打席で情けない三振をしていたので初球からいこうと思った。まさか入るとは思わなかった。信じられないというか…」。ほぼ全速力でベースを1周する色白の顔が紅潮していた。

 4日の試合でセサルが故障した。深夜0時前、2軍戦のため姫路市内のホテルにいた中川の元に初昇格の報が届いた。この日、朝7時45分の新幹線に飛び乗ると、ナゴヤドームでは試合前のフリー打撃からアピール。試合直前のミーティングでスタメンを告げられた。「今日のゲームはあの1本で流れが変わったんじゃないか」。落合監督も笑みを浮かべ、勝敗を分けた1発だと認めた。

 03年のドラフト1巡目で入団した。主軸を打てる内野手として期待されたが、右肩の故障もあって今季まで1軍出場はわずか15試合、12打席で1安打のみ。転機は外野に転向した昨季だった。落合監督は「守りのセンスがある」と和田の“後継者候補”に挙げた期待の星がやっと芽を出し、チームに5月16日以来の連勝をもたらした。【鈴木忠平】

 [2010年6月6日9時18分

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