<ソフトバンク5-0楽天>◇8日◇福岡ヤフードーム

 ソフトバンク和田毅投手(29)の胸には大きな満足と、ほんの少しの未練があった。8回119球を投げ終えてマウンドを降りると、秋山監督から降板を説得された。「自分は当然、最後までいくつもりだったけど、監督の方から言われたので。次の機会でしっかり投げたい」。優勝と次の1勝のために受け入れ、8回5安打無失点。自己最多の15勝目を挙げ、同僚の杉内に並んだ。

 8月11日に14勝目を挙げた後、3連敗。「体の疲れは良くなっていた。だからもどかしかった」。きっかけは炎天下の投球練習だった。5日のスカイマークで、最高気温34度の中、ブルペン投球を行い、「これだ、というのが戻った」。全身を使うフォームを取り戻した。今季のテーマである低めへの投球を貫き、1回先頭の渡辺に左前打を許して以降は、6回1死まで1人の走者も許さなかった。最近3試合は130キロ台中盤だった直球が最速141キロをマークした。

 13日は1人娘の誕生日。「最近、書くのが好きなんですよ」。遠征の帰りにはおみやげのペンを探す優しいパパは「15勝で終わりじゃない。優勝しないと何もおもしろくないんで。チームが勝つ投球をしたい」。ルーキーだった03年以来の優勝奪回へ、全身全霊をささげる。【太田尚樹】

 [2010年9月9日8時39分

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