佑ちゃん、大石、沢村にちょっと待ったコールだ。楽天の沖縄・久米島キャンプ第2クール最終日の8日、ドラフト2位の美馬(みま)学投手(24=東京ガス)がフリー打撃に初登板した。豪雨で途中キャンセルとなったが17球で安打性1本。最速153キロの触れ込み通り打者を押し込んでみせた。身長169センチと小柄なクローザー候補は「一生で1度しかない新人王を狙う。みんなが話題になっているので悔しい」。一番“低い”地点からテッペンを目指す。

 朝から気合が違った。声出し当番の美馬は「ストッパーの座を取って1年間守りたい。身長を1センチ伸ばして、夢の170センチになりたい!」と叫んだ。星野監督以下全選手の前でつかみはOK。勢いそのままフリー打撃に臨んだ。

 体格のハンディを「感じたことがない」と即答できる創意工夫が、投球に詰まっていた。マウンドに真っすぐ立つと、背番号「31」の「3」だけが見えた。左半身で壁を作り、そのままクロス気味に、最後までリリースポイントを隠したまま直球を外角低めに集めた。ユニホームは、右足くるぶし内側だけが泥で汚れていた。「右足裏の爪先でプレートを蹴る。一番力が入る。自分で見つけました」。なぜ球が強いか。動かぬ証拠が足もとにあった。

 星野監督は「投げっぷりがいい。新人王候補になるだろう。オレがオレが、と競い合えばいい。実戦で何を出すか」。10日の第3クールから始まる紅白戦が試金石だ。【宮下敬至】

 [2011年2月9日8時18分

 紙面から]ソーシャルブックマーク