<ソフトバンク2-1楽天>◇26日◇福岡ヤフードーム

 ソフトバンクが後半戦を単独首位スタートだ。3回に2死から四球で出塁した本多雄一内野手(26)が二盗を成功させ、3年連続30盗塁の快挙を達成。追加点を呼び込んだ。5回には右前安打を放ち、打率3割2分2厘で首位打者にも浮上。ド派手な勝利ではないが、接戦を手中にし、同率で並んでいた日本ハムに1ゲーム差をつける満点スタートだ。

 1歩目を踏み出す勇気が本多にはある。泥臭くつかんだ1点が、最後の最後に単独首位に返り咲く大きな勝利を呼びこんだ。

 3回2死。四球を選んで出塁。すぐに大きなリードを取ると、楽天塩見のモーションを確認しながら、盗塁のタイミングをはかる。走ったのは、4球目だ。警戒する塩見が投球動作に入るまでの時間をすべて変えてきた中、思い切って飛び出した。二盗成功。今季30盗塁目は、捕手嶋の悪送球を誘った。三進後に松中の中前適時打で生還。1点差勝利のゲームで、身長173センチの小兵が大仕事だ。

 本多

 クイックが速い。でも、ゆっくりのけん制は、もうないと思った。(盗塁のひけつは)勇気と、けん制がないという勘でしょうか。ここまで結果出せているのも、思い切りのよさ、積極性の心構えが成長させてくれたと思っている。

 09年43個、10年59個に続き、3年連続の30盗塁。ホークスではダイエー時代の95~97年村松以来。30盗塁が目標ではないが、ソフトバンクで初となれば、何よりの勲章に違いない。

 失敗を恐れず、走り続けてきた。5回の1つを含め、通算67の盗塁死も経験。それでも、次塁を狙う意欲は、そがれない。シーズン通して履くスパイクは、たった1足。特に足の甲、親指の付け根部分のフィット感を求め、選び抜いたものだ。終盤にはスパイクがボロボロになるが、新たなものに履き替えることもしない、こだわりぶりだ。

 道具だけでなく、感覚も研ぎ澄ましてきた。昨年まで1歩目を踏み出す直前の体重比率は、右足6に対し左足4。だが、今季は右4対左6。左足の1歩目を大きく踏み出すために至った結論だった。史上71人目の通算200盗塁もあと3個と目の前に迫ってきた。

 5回には右前安打を放って、打率3割2分2厘で首位打者に浮上。チームは同率で並んでいた日本ハムを1歩リードし、後半戦開幕で、単独首位スタートになった。貯金は25だ。

 秋山監督

 ハムが勝つ、負けるは関係なく、自分たちの試合で勝たないと何も言えないもんな。

 いつもド派手な勝利など求められない。ただ、打てなくても、勝てるときはある。見た目にはインパクトは小さくとも、着実に勝てる本当の強さを証明した。【松井周治】