<ソフトバンク10-3西武>◇11日◇鹿児島

 鹿児島から再び上昇気流だ!

 ソフトバンクが13安打で今季初の10得点を挙げ快勝。連敗を5でストップした。年に1度の鹿児島開催。1万8150人と満員のスタンドを一番沸かせたのが、鹿児島実出身の本多雄一内野手(28)だった。不振脱出の今季初猛打賞。5回には内川の左適時二塁打で一塁から一気に生還し勝ち越しのホームを踏む好走塁も見せた。

 青春の汗と涙が染みこんだ鹿児島・鴨池球場で躍動した。ソフトバンクの連敗を5で止めた殊勲の本多はお立ち台で感慨に浸った。

 「やはり僕の原点。高校3年間やらしてもらった恩返しとして、人を喜ばせたいと思ってプレーしました」

 自慢の快足で沸かせた。同点の5回、2死から四球を選ぶと、続く内川の二塁打で、左翼手の西武坂田がもたつく間に「無我夢中でした」と一気に生還し試合の流れを呼び込んだ。

 福岡・大野城市出身の本多は、鹿児島実に野球留学。方言も違う中で、3年時には鹿児島県外出身者で初の主将に選ばれた。

 今は鷹の選手会長。責任感が強く、今季は打撃不振に悩み続けてきた。4月28日ロッテ戦(QVCマリン)から2戦連続でスタメンから外れた。07年にレギュラーに定着して以来、故障ではなく不調で外れるのは初めてだった。

 WBC日本代表では代走要員だった。キャンプを半分しか消化できず、体ができていないことが不調の原因と首脳陣は判断した。1日からの本拠地6連戦は試合に出続けながらのミニキャンプ。だれよりも早くヤフオクドームに来て走り、若手と一緒に特打に励んだ。試合後は、グラウンドでは華やかなイベントが開催されている中、無人のスタンドを走り込み、マシンを40分打込んで帰宅した。「下半身が安定してきましたね」。言葉通り2日ロッテ戦から、この日まで7戦連続安打。1割台だった打率も2割3分8厘に上がってきた。

 この日は7戦ぶりに9番ではなく2番に起用された。今季2度反則打球をとられたバント時に打席から足を踏み出すクセを矯正。コーチ陣からOKサインをもらった証しだった。秋山監督も「状態がね」と好調さを認める。チームも鹿児島開催は3年連続白星。連敗は5でストップした。チームも本多も大好きな鹿児島から再スタートを切る。【石橋隆雄】