スーパーキャッチあるかも!?

 8日、甲子園で阪神の新入団選手6選手の施設見学と体力測定が行われた。ドラフト2位の鹿児島実・横田慎太郎外野手(18)は、垂直跳びで80センチを記録。その跳躍力で甲子園のフェンスもひとっ跳びだ。名指しで期待した掛布雅之GM付育成&打撃コーディネーター(DC=58)以来となる高卒新人の本塁打も夢ではない。期待は膨らむばかりだ。

 掛布DCも注目する男は、驚異の身体能力を秘めていた。横田が全身を使ってジャンプすると、チームの平均値を大きく超えた。午前中行われた体力測定で全新人トップの垂直跳び80センチを記録。上本の入団時の76センチ、超人の異名を取るオリックス糸井が今季のイベントで記録した74センチも超えた。驚きの数値を見た伊藤トレーニングコーチも「非常に身体能力が高い。今いる選手のなかでもNO・1クラス」と舌を巻いた。

 横田

 (身体能力には)自信をもっているので。足は小さいころから速かったし、生まれ持ったものもあるのかなと思います。

 たたき出した数字を見れば、ホームランハンターとしての夢も膨らむ。甲子園の外野フェンスは約2・5メートル。身長186センチの横田が手を伸ばし、80センチの跳躍をみせると…。本人はさすがに「わからないです」と謙遜するが、広島赤松、天谷がマツダスタジアムで10年に見せたスーパーキャッチも決して夢物語ではない。名手・赤星憲広は現役時に「足をかければ登れる」と証言。05年には助っ人スペンサーが「甲子園の外野フェンスに登ることはできる」と意欲を見せたが、未だ成功した選手はいない。

 大きな体は可能性で満ちあふれている。高校通算29発、甲子園には出場はないものの、ドラフト2位で指名を受けたのもうなずける。抜群の身体能力を知る掛布DCも「かなり大きいサイズで入ってくる。早くバッティングしている姿を見たい。スイングだとか、ボールをたたいている姿をね」と名指しで期待を込めたほど。伊藤コーチが「(パワー面でも)よかった」と話すように、その掛布DCが3発放って以来、40年ぶりとなる阪神高卒新人の1発も現実味を帯びる。

 横田

 甲子園は高校3年間の目標でもあったし、今の目標でもある。早く活躍したいなと思いますし、そこで本塁打を打ちたいなと思います。焦らずやっていこうとは思いますがチャンスがあれば(1軍に)行きたいというのはあります。

 スタンドから甲子園を初めて見学した。浜風を肌で感じ、プレーのイメージを膨らませた。「虎の超人」になる資格を、あいさつ代わりに見せつけた。【池本泰尚】

 ◆山森雅文(阪急)81年9月16日ロッテ戦(西宮)で、弘田の打球を左翼フェンスに駆け上がって捕球。この写真が米国野球殿堂博物館に展示される。

 ◆岡義朗(広島)79年4月7日の開幕戦阪神戦(広島)。掛布の大飛球をフェンスによじ登り捕球。

 ◆赤松真人(広島)10年8月4日横浜戦(マツダスタジアム)。村田の大飛球を左中間フェンスによじ登り、振り向きざまに捕球。米スポーツ専門局ESPNの1週間の好プレーを選ぶ「トップ10」で1位の快挙。

 ◆天谷宗一郎(広島)10年8月22日横浜戦(マツダスタジアム)。ハーパーの右中間越えの打球をフェンスに上がり、上体を反らせて捕球。