<WBC:日本5-8ベネズエラ>◇準々決勝◇14日(日本時間15日)◇米マイアミ・ローンデポパーク

侍ジャパンは世界連覇ならず。準々決勝でベネズエラに敗退した。日刊スポーツWBC取材班のキャップ・小早川宗一郎記者と久保賢吾記者が、それぞれの視点で8強に終わった要因を分析した。

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日本球界はこのままでいいのか。史上最速、準々決勝敗退という現実を受け止めなければならない。勝ち進んでいる各国をみれば投手陣の持ち合わせるポテンシャルの差は歴然だった。100マイル(約160キロ)、あるいは90マイル台後半(約150キロ台後半)が当たり前。特にリリーフは出力こそ全てと言わんばかりにゾーンに剛速球をどんどんと攻め込んでくる。過去ワーストの1試合8失点を喫して敗れた投手陣の課題をどうクリアにするかが、次回までのポイントになる。

もちろん身体能力の違いもある。それを理解した上で、いわゆる“飛ばないボール問題”も一因ではないのかと問いたい。NPBでは近年、ボールが飛ばないと話題になっており、実際に昨季開幕前、ドジャースとカブスが来日した際も、メジャーリーガーがたびたび指摘。オールスター前までは打球が飛ばず、オールスターから急に飛ぶようになったという声もあちこちから聞こえてきた。データ的な観点でも、打球速度、打球角度から換算する推定飛距離と現実の飛距離に大きく乖離(かいり)があったという。

ボール問題には複雑な問題が絡み合う。統一球を扱うミズノ社がやり玉に挙げられることもあるが、そもそも反発係数を定めているのはNPBで、ミズノ社としても定められた反発係数の数値内で出荷しているに過ぎない。一般的にNPB球よりも、反発係数が高いMLB球の方が打球が飛ぶと理解されており、NPBとして現状の「投高打低」の環境をよしとしていることになる。日本では失投が外野フライで終わっていたものが、国際大会ではスタンドまで運ばれてしまう。2ランを被弾した隅田は「あの1球の失投は課題だった」と振り返ったが、NPBの統一球なら本塁打じゃなかったかもしれない。NPB球に慣れた投手がMLB屈指のスラッガーたちに、いつもより飛ぶMLB球で立ち向かうのは当然、難しいだろう。

さらに言えば、ルールの導入も遅れている。今大会でピッチクロック、ピッチコムなどの新ルールを採用していないのは主要国ではNPBだけ。ルール適応の難しさから、井端監督はMLB組を軸に選手を選考した。昨年11月や今年2月の宮崎強化合宿でも、新ルール対策に多くの時間を費やした。それでも準々決勝では伊藤がピッチクロック違反でカウントを悪くして安打を許し、その後に3ランを浴びた。目にゴミが入ったふり(本当かもしれないが)をして1打席1度と制限されているタイムの回数を消費せずに間をとったアラエスのように、巧みにルールをかいくぐるベネズエラとの差は大きかった。

ピッチクロックは負傷につながるリスクも指摘されており、完璧なルールではないかもしれない。「間」のスポーツとも言われる魅力が減るかもしれない。ただ、WBCや世界の標準がそこである以上、そして、その土俵で戦っていく以上、新ルールをいち早く採用しなかったことは、この結果を招いた要因の1つだろう。ただでさえ慣れない国際大会で慣れない相手と戦う中、さらに慣れないピッチクロック、ピッチコムの適応を強いられた選手たちのストレスと負担は気の毒に感じる。WBCで再び世界一を目指すならば、まずできることの1つは選手たちのために環境を整えることだ。この敗退を無駄にしないためにも、何かが変わるきっかけになることを願う。

◆小早川宗一郎(こばやかわ・そういちろう)1998年(平10)3月生まれ。東京都あきる野市出身。高校時代は硬式野球部に所属。中大商学部を経て20年4月入社。巨人、DeNA担当を経て、25年途中から侍ジャパン担当キャップを兼務。26年再び巨人担当に。趣味は海外サッカーなどのスポーツ観戦。下手くそだけどマイブームはゴルフ。好きな食べ物は地元の八王子ラーメン。

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