新十両昇進を、そろって待ち遠しくしている兄弟がいる。中学横綱に輝いた東幕下17枚目塚原(22=春日野)は、17年九州場所で初土俵を踏んで以来、ここ最近は幕下上位で奮闘中。この日は日体大で学生横綱に輝き、幕下15枚目格付け出しデビューした欧勝馬を強烈な突き押しで圧倒した。新十両昇進に向けて、毎場所力が入っている。

その兄の背中を追うようにして、9月の秋場所後に弟の床栃(18)が床山として春日野部屋に入門した。小学校時代はともに地元・埼玉の相撲クラブで汗を流した仲だが、床栃は中学進学以降は野球に打ち込んだ。しかし、兄が奮闘している姿を見て「兄(塚原)の大銀杏(おおいちょう)を結いたい」と、高校を中退して角界入りを決意。五等床山として日々、兄弟子らのまげを結って鍛錬中だ。

弟の熱い思いに当然、兄も刺激を受けている。現在は毎日、弟の床栃にまげを結ってもらっているという。入門したばかりの床栃にはまだ、大銀杏を結う技術がないというが「まずは自分が十両に上がらないと始まらない。1日でも早く上がれるように、しっかり頑張ります」と兄。弟のため、兄のため、ともに夢に向かって精進する。【佐々木隆史】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)