新大関安青錦(21=安治川)を、付け人の魁佑馬(25=浅香山)が家族ぐるみで支えている。部屋は異なるが、安青錦が新十両に昇進した24年九州場所から、付け人になった。同じ伊勢ケ濱一門として依頼があり、魁勝が十両だった時に付け人経験がある魁佑馬が務めることになった。
あれから1年-。昨年の九州場所で安青錦が優勝決定戦を制して引き上げる際、花道の奥で出迎えたのが魁佑馬だった。2人は力強く抱き合い、魁佑馬は涙を流していた。「名古屋場所でも、悔しがっていたのを見ていましたから。九州場所は勝った瞬間、喜びました。(同じ付け人の)安響は忙しくて泣く暇がなかったようですが、自然に涙が出ました」。
このシーンは、多くの相撲ファンの胸を打った。魁佑馬の顔と名前も知られるようになった。「巡業や本場所でも『頑張ってください』と声をかけられることが増えました。ありがたいです」。安青錦が研修生だったころから、出稽古で交流があった。魁佑馬が4歳年上で6年以上も兄弟子。「ダーニャ(安青錦の愛称)」「圭祐さん(魁佑馬の本名)」と呼び合う仲だが、「もう大関ですから、恐れ多くて言えませんよ」と、大関を立てながら支える毎日だ。
大関になると、国技館の地下駐車場に車で乗り入れられる。安青錦はタクシーで場所入りし、帰りは魁佑馬の父・菅野孝則さんが運転する車で帰っていく。孝則さんは元トラック運転手で、現在はタクシー運転手。魁佑馬が提案して、今場所3日前に決まった。東京の道を熟知し、運転のプロ。これ以上ない送迎役が見つかった。
孝則さんが勤務中はタクシーで、勤務がない日は自家用車で、それぞれ国技館の地下駐車場で待機している。
魁佑馬は「大関も良かったと言ってくれています。おやじはしゃべるのが好きなんです。大丈夫かなと思ったんですが、これがいいルーティンになっているかもしれません」と話す。親子そろって、新大関をもり立てている。【佐々木一郎】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)


