WBC(世界ボクシング評議会)は23日、世界バンタム級タイトルマッチ(15日、島津アリーナ京都)で日本タイ記録の13度目の防衛戦となった山中慎介(34=帝拳)を4回TKOで破って新王者となったルイス・ネリ(22=メキシコ)が、禁止薬物に陽性反応を示したと発表した。

 帝拳ジムの本田明彦会長(69)は24日、山中の今後について「VADAの検査結果を受けて、WBCとJBC(日本ボクシングコミッション)が協議した裁定を受けてからになる。ネリの王座剥奪で無効試合となれば、山中に最優先で王座決定戦への出場権利がある」と話した。

 無効試合となれば山中の負けは消えることになり、一部には山中の防衛が継続し、V13に再挑戦できるという見方がある。だが、本田会長は「それはあり得ない。王座は空位になるだけ」とも話した。山中は試合後に進退は明言せずに「落ち着いて考えたい」と話し、現在は家族とすごしながら今後について思案している。本田会長は「あとは本人次第」と繰り返した。

 ボクサーは世界ランク入りするとドーピング検査は必須で、日常で予告なくVADAの職員が検査にくる。今回の世界戦での検査は契約書に盛り込まれ、試合前から複数の検査をプロモーターの帝拳ジムが経費を負担して依頼していた。WBCではアンチドーピングを強化しているが、世界戦すべてではないという。本田会長は「村田の時もやった。大きな試合では欠かしていない。相手も疑惑が多いメキシコだったので」と話した。