WBC世界ライトフライ級王者・拳四朗(25=BMB)が同級1位ペドロ・ゲバラ(28=メキシコ)に判定勝ちで初防衛に成功した。

 拳四朗の細い目がさらに細くなった。「やっぱりホッとしますね。普通の試合と一緒と思ってやってるんですけど」。試合後と思えぬきれいな顔だが、腹を決めた打ち合いを制し、ベルトを守った。

 劣勢を巻き返した。4回までは左ジャブ中心の組み立てだったが、公開された採点は3人ともゲバラ支持。それでも「焦らなかった。後半に相手はバテると思ってたし」と冷静に作戦変更。5回から距離を詰め、アグレッシブに打ち合った。「新しい自分が見えた感じ」。ひょうひょうとしたムードに似合わぬ激しさで逆転勝ちを演じた。

 時流といえる複数階級制覇に、興味はない。アマチュアの関大時代から、通常57キロ前後からライトフライ級のリミット48・9キロへの減量に慣れ、25歳の今の方が、昔より楽だ。階級を上げればリスクを伴う。何より必然性がない。ライトフライ級の名王者となり、ビッグマネーを稼ぎたい。

 次戦は、5月に判定勝ちでベルトを奪った前王者ロペスを相手に迎える。「こめかみが痛い。ちゃんとかまれへん。肉が食べられへん」。試合後は相変わらずの“癒やし系”だったが、次は今まで以上の強さを見せつけるつもりだ。【加藤裕一】

 ◆拳四朗(けん・しろう)本名は寺地拳四朗で、漫画「北斗の拳」の主人公ケンシロウから命名。1992年(平4)1月6日、京都府城陽市生まれ。奈良朱雀高3年でインターハイ準優勝、関大4年で国体優勝。趣味は食べること。酒も好きで日本酒の水芭蕉(群馬)やまとしずく(秋田)などがお気に入り。好きな女性のタイプは女優桐谷美玲。家族は両親、兄。右ボクサーファイター。164センチ。