ボクシングのWBA世界ミドル級王者村田諒太(32=帝拳)が、ドーピング問題に揺れるボクシング界の現況に失望の意を表した。

1日、同級2位ブラント(米国)とのV2戦(10月20日、米ラスベガス)へ向け、都内のジムで9回のスパーリングを敢行後、WBO同級王者ビリージョー・サンダース(英国)が先月下旬に禁止薬物の陽性反応が出た件について、「こういう系のニュースが一番モチベーションを下げる。スタンダードがそっちだと思ってしまう。残念な気持ちで、失望しますね」と厳しい口調で述べた。

サンダースは8月下旬に受けたドーピング検査で陽性反応を示した。禁止薬物の興奮剤オキシロフリンが検出された。10月20日に米ボストンで開催予定だったデメトリアス・アンドラーデ(米国)との防衛戦を控えており、試合のライセンスを発行する同州コミッションは10月8日に協議して試合を行うかどうか結論を下す。WBOから王座剥奪される可能性もある。

世界のボクシング界では、ドーピング問題が頻出する。ミドル級では、先月2団体統一王座(WBAスーパー、WBC)を奪取したサウル・アルバレス(メキシコ)が該当。2月の検査で筋肉増強作用がある禁止薬物クレンブテロールが少量検出され、米ネバダ州から6カ月の資格停止処分を受けた。処分明けの9月にはゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)を破り、ミドル級頂上決戦を制したが、故意に使用した疑惑が完全にはぬぐえない中での勝利となった。

自身も属するミドル級のトップ選手の問題だけに、村田は「やるのなら選手生命をかけてやればいい。半年の処分とかは甘すぎる」と語気を強めた。他競技の事例なども挙げて、異議を唱えた。特にボクシングは野球や陸上などと異なり、殴り合うスポーツ。より生命にも関わるだけに、「命がけでやっているのに、命をかける意味がなくなってしまう」と語った。