ボクシングのWBAスーパー、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(27=大橋)が、このほどWOWOWエキサイトマッチ・2020年末総集編(28日午後9時からWOWOWライブで放送)の収録にゲストとして参加し、インタビューに応じた。

10月31日(日本時間11月1日)に米ラスベガスでジェイソン・マロニー(29=オーストラリア)に7回KO勝利して2団体の王座防衛に成功。初進出の「聖地」で、高い技術力と強打を披露した。新型コロナウイルスの影響で、当初4月に決まっていたWBO世界同級王者ジョンリエル・カシメロ(31=フィリピン)との統一戦の延期も経験するなど激動の1年だった井上。マロニー戦をはじめ、バンタム級のライバルたち、今後の展望などについて語った。

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-コロナ禍の中、不安を抱えながらの1年だった

井上 こういう状況なので試合をすることができない選手もたくさんいた中、結果的に今年も試合はできたし、そこに関しては運が良かったと思います。マロニー戦の試合で入場するとき、それを実感しました。試合の実現のために力を貸してくれた人たちに感謝しています。

-本来ならば4月にカシメロと戦うはずだった

井上 そのときは仕方ないなと思いました。あのときは中止ではなく延期ということだったので。気を引き締めなおしてトレーニングしなくては、と感じました。

-充実期ともいえる27歳。計画していた年間3試合ができず、焦りはあったのか

井上 そこまでの感情はないですね。1試合できただけもラッキーだったと思っています。

-そのマロニー戦は国内外で高い評価を得ている。自分なりの評価は

井上 そうですね、倒したパンチは自分でも良かったと思います。でも、それまでの試合の流れの作り方であるとかの部分でいうと反省点もあります。

-あの試合の最大の収穫は

井上 ラスベガスでインパクトを残す倒し方をして勝ったことですね。あのままダラダラ判定で勝つのではなく、倒しきれたことは大きな収穫だと思います。

-課題は

井上 1、2回の硬さですね。最初からリラックスして入れれば良かったのですが…。でも、1年のブランクもありましたからね。昨年11月のノニト・ドネア(フィリピン)戦の1、2回はパーフェクトでした。あれが毎回できればいいのですが。

-もうひとつの課題ともいえる英会話の習得は

井上 いや、それは全然です(笑)。課題を残したままです。

-今年もエキサイトマッチ・2020年末総集編で上位にランクされましたね。

井上 自分の試合を評価してくれたことに対して率直に感謝ですね。パッキャオが3年連続でトップだったことがあるらしいので、それに並べる21年に出来るように頑張ります。。

-キャリア8年、3階級制覇、海外での3試合を含めて20戦全勝17KO無敗。これらの数字には満足

井上 自分が思っている以上にいいペースでこれているのかなと思います。

-マロニー戦から2カ月近く経ちました。もうトレーニングは再開

井上 はい、トレーニングはやっています。まだテーマを決めてとかそういう段階ではなく、来年に向けて動いている感じです。

-21年の大きな目標は?

井上 バンタム級4団体の王座統一です。

-スーパー・バンタム級に上げて4階級制覇を狙うという計画は、その先に

井上 そういうことになりますね。階級を上げたときにどんなボクシングをするのか、自分でも興味があるんです。

-いま、1番戦いたい相手は?

井上 カシメロです。それか(WBC休養王者ノルディーヌ・)ウバーリ。ベルトを持っている選手と戦いたいです。

-カシメロとWBA正規王者のギジェルモ・リゴンドー(キューバ)が戦うかもしれないという報道もある

井上 その勝った方と戦いたいです。

-どちらが勝つと思いますか。

井上 カシメロは1発があるし、リゴンドーは巧い選手だし…。どちらが勝つかまったく分かりません。

-来年は日本でも試合をしたいのでは?

井上 この状況だけになかなか難しいかもしれないけれど、やっぱり日本のファンの前でも試合をしたいですね。