ボクシングの元東洋太平洋ライト級王者中谷正義(32=帝拳)と元世界3団体統一同級王者ワシル・ロマチェンコ(33=ウクライナ)の対戦が実現したのは、昨年12月の中谷の試合が大きかった。WBOインターコンチネンタル・ライト級王座決定戦で、フェリックス・ベルデホ(プエルトリコ)にTKO勝ちし、ライト級世界トップ戦線に名乗りをあげた。当時の試合の様子は以下。

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▼2020年12月12日(日本時間13日)のWBOインターコンチネンタル・ライト級王座決定戦(米ネバダ州ラスベガス)※年齢などは当時

前東洋太平洋同級王者中谷正義(31=帝拳)が逆転TKO勝ちで王座を獲得した。IBF同級5位フェリックス・ベルデホ(27=プエルトリコ)に9回1分45秒、TKO勝ちを収めた。

1回に右ストレートでダウンを許し、4回には右カウンターで膝をつき、2度目のダウンを喫した。しかし5回からプレッシャーをかけて追い上げ、6回には右ストレートがクリーンヒット。9回には左ジャブでダウンを奪取し、立ち上がってきたベルデホにワンツーを打ち込み、キャンバスに沈めた。そのままレフェリーストップのTKO勝利をなった中谷は「上(顔面)ばかりだったらパンチが当たらないので、下(ボディー)から崩して上を攻めた。今日みたいにKOを狙っていきたい。これが米国で勝つ方法、ボクの戦い方」と堂々と言い切った。

19年7月に現3団体統一同級王者テオフィモ・ロペス(米国)に12回判定負けして以来1年5カ月ぶりの再起戦だった。一時期は引退期間がありながらも、再びリングへのカムバックを決断した。今月には井岡ジムから帝拳ジムに移籍。移籍初戦でもあった。インタビューで「ダウンした後、立ち上がれた原動力は?」と問われた中谷は「ロペスとやって、もう1度、ロペスにチャレンジしたいから」とキッパリ。世界ランカーを下し、世界再挑戦へ大きなステップを踏んだ。

◆中谷正義(なかたに・まさよし)1989年(平元)3月8日、大阪市生まれ。中学3年時にアポロジムでボクシングを始める。並行して日本拳法も学ぶ。大阪・興国高では、世界4階級王者井岡一翔らと同期。3年時に高校総体ライト級8強。近大を経て、11年6月、井岡ジムからプロデビュー。14年1月、東洋太平洋ライト級王座を獲得し11度防衛。19年7月、現3団体統一同級王者テオフィモ・ロペスに判定負けし、1度引退を表明。昨年12月に現役復帰し、帝拳ジム移籍。