日本人初のUFC王者を目指し、日本総合格闘技界の「スーパーノヴァ(超新星)」が出陣する。プロデビューから10戦全勝の修斗フライ級王者平良達郎(22=Theパラエストラ沖縄)が30日(日本時間5月1日)、UFCデビューを果たす。米ラスベガスで開催されるUFCファイトナイト・ラスベガス53大会でカルロス・カンデラリオ(30=米国)とフライ級5分3回で対戦する。

日刊スポーツの取材に応じた平良は「目標はUFCフライ級のベルトを奪取すること。日本人で誰もいないということもありますし、UFCベルトを巻いてみたい。あこがれが強い」と大きな野望を掲げた。

世界最高峰のオクタゴン(ケージ)で、日本勢は苦戦を強いられてきた。タイトル戦線に絞れば宇野薫が2度、岡見勇信、堀口恭司が各1度、UFC王座に挑戦したものの、いずれもベルト獲得はならなかった。オクタゴンの頂点に立つことも難しさを物語る現状だが、平良はUFCで日本勢の“未来”を担う存在として注目されている。

近年のUFCでは人材発掘シリーズやリアリティー番組などステップアップの場所が設けられているが、平良は“パス”した形で契約を結び、試合が組まれたことが大きな証明だ。

「最近、(日本勢が)UFCで勝っている選手はいなかったりする。強い選手たちと戦って、勝つことが自分の人生で1番うれしいこと。本当に実力者を倒していきたい」。まずはカンデラリオとのUFCデビュー戦でインパクトを与える勝利を挙げることに集中している。

格闘技を開始したのは高校1年の夏だった。中学までには野球部に在籍していたが、高校では「もういいかな」と続けなかった。兄が通っていた格闘技ジムに体験入門したことを契機に総合格闘技を開始。「自分は、本当に運動神経が特別良いわけではない」と自己分析しつつ、UFCで勝ち上がる自信も胸に秘める。「そういう僕が(子供たちのあこがれの存在に)なったら勇気が与えられるかなと。与えたいですね」と目を輝かせた。

寝技を得意とするファイトスタイルだが、平良は「自由奔放、オールラウンダーがスタイル。デビュー戦でも。それをみせたい」と意気込む。海外初試合となり「緊張するタイプですが、ケージに入ったらいつもの通り」と動揺するそぶりはない。対戦するカンデラリオはサウスポーからの打撃を得意とすることもあり「パンチとか気を付けなければいけないところを頭に入れて戦えれば」と警戒することも忘れない。

「自分の良さを出すためにも1つ1つ自信を持ってアタックにしにいきたい。分析的にも相手は序盤からくるタイプなので。こちらも1回で仕留めてやるぞという気迫で戦いたいと思っています。必ずや、勝ちます」と語る平良。22歳の「スーパーノヴァ(超新星)」はインパクトを与えることができるか-。【藤中栄二】

◆平良達郎(たいら・たつろう)2000年(平12)1月27日、沖縄・那覇市生まれ。城岳小、神原中時代は野球に没頭。小禄高1年時、兄が通っていたジムに入門し、総合格闘技を開始。17年に全日本アマチュア修斗フライ級で優勝し、18年に修斗でプロデビュー。同年に開催された修斗新人王決定トーナメント(フライ級)を制覇し、MVPを獲得。21年には修斗フライ級王者に。プロ通算戦績は10勝無敗。家族は両親と兄、妹。170センチ、66キロ(通常体重)。