WBO世界スーパーフライ級王者井岡一翔(33=志成)がリベンジ達成で5度目の防衛に成功した。04年9月以降、約18年間負けなしの元世界4階級制覇王者となる同級1位ドニー・ニエテス(40=フィリピン)の挑戦を受け、3-0判定勝ちを収めた。

18年大みそかに同級王座決定戦(マカオ)で1-2の僅差判定負けを喫して以来の再戦で雪辱を果たし、日本歴代トップの世界戦通算勝利を区切りの「20」に伸ばした。因縁の相手との決着をつけ、大みそかに他団体王者との統一戦実現へ、大きな弾みをつけた。

ニエテスに敗れた後、マカオの試合会場で井岡は言った。「願望としてはニエテスと再戦したい。多分、そういう日が来るような気がする」。そして約3年7カ月が経過し、再戦はWBOからの指名試合で実現した。「ニエテスに負けてから4階級制覇し、過去の自分を払拭(ふっしょく)したと思っているが、運命としてもう1度戦う時が来た。きっちり決着をつけ、どちらが真の王者か証明しないといけない」と集中力を研ぎ澄ませていた。

前回のニエテス戦の動画をチェックし、師事するキューバ人トレーナーのイスマエル・サラス氏、佐々木修平トレーナーと対策を練ってきた。ニエテスが得意とする接近戦になっても競り勝てる体幹を手にするため、ピラティスを取り入れ、内転筋、骨盤周辺の筋肉を鍛え、さらなる連打可能な肉体を作り上げた。恵美夫人の栄養サポートにより、食事は基本的に魚と野菜の料理を中心。疲労回復とスタミナ持続可能な肉体を保ってきた。

22日には第2子誕生の予定日を控えており「かなり気合が入る。自分の役割をきっちりやり、結果を出し、生まれてくる瞬間をチャンピオンとして見守りたいと思う」とニエテス戦に向けて気持ちを高揚させて臨んだ新旧の世界4階級制覇王者対決だった。

恒例となる大みそかには、他団体王者との王座統一戦を希望している。昨年大みそかは新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の影響で、当時のIBF王者ジェルウィン・アンカハス(30=フィリピン)との王座統一戦が延期に。さらに今年3月にアンカハスが10度目の防衛戦で王座陥落。新IBF王者はフェルナンド・マルチネス(31=アルゼンチン)となった。

現在、両陣営が再戦に向けて対戦交渉中。井岡は「次の目標は統一戦。(マルチネス-アンカハス戦の)勝者と対戦できたらいいと思います」とターゲットを絞る。

ミニマム級に続き、スーパーフライ級でも2団体王座統一を成し遂げるため、井岡は戦い続ける。

◆井岡一翔(いおか・かずと)1989年(平元)3月24日、大阪・堺市生まれ。興国高で史上3人目の高校6冠を達成。東農大2年中退で09年プロデビュー。11年に当時日本最速7戦目でWBC世界ミニマム級王座、12年にWBA世界ライトフライ級、15年に18戦目の当時世界最速でWBA世界フライ級王座獲得。17年に1度引退も、18年に復帰。19年再挑戦でWBOスーパーフライ級王座を獲得し、日本初の世界4階級制覇達成。164・8センチの右ボクサーファイター。家族は夫人と1男。

 

▽ラウンドVTR

1R 井岡は距離を置き、慎重にジャブを放つ。ニエテスも積極的に攻めに出ず、不気味なほど静かな立ち上がり。(井岡10-9)

2R 井岡がジャブでリードを奪う。ニエテスは右のオーバーハンドで形勢逆転を狙う。距離を詰めたところでニエテスが左フック。井岡はあえて様子を見る。(井岡9-10)

3R ニエテスが積極的にジャブを放つ。井岡はタイミングを計りながらワン・ツーも効果的な打撃はなし。残り1分から井岡が前へ。ボディー中心に攻める。(井岡9-10)

4R 井岡が積極的に前に出て左フックをヒット。右ストレートも打ち抜く。ニエテスは大振り。井岡は的確なパンチを狙う。(井岡10-9)

5R 井岡が圧力をかけて攻勢に出る。左フック、左ボディーで主導権を奪いにいく。ニエテスは手が出ず。(井岡10-9)

6R 井岡が攻勢を強める。左ジャブを放ちながら前に圧力。ニエテスは動かされながら決定打はなし。(井岡10-9)

7R 井岡が右の連打からリードを作る。1分過ぎに足を止めて打ち合いも数秒。井岡は左のボディーへのダブルで展開打破を狙う。(井岡10-9)

8R ニエテスが間合いを詰めようとするが、ガードを固めた井岡は完璧なディフェンス。井岡はていねいにジャブを突き、ニエテスに距離を詰めさせない。(井岡10-9)

9R ニエテスは右目上をカット。井岡のパンチによるものとアナウンス。距離感は詰まらずワンパターンの攻防で、井岡が右のガードを下げて攻めに出るも有効打はなし。(井岡10-9)

10R ニエテスがジャブを突きながら積極的に前へ出る。井岡はかわしながらカウンター狙い。パンチで左目上からも出血させる。(井岡10-9)

11R ニエテスが被弾覚悟で前へ。井岡は冷静にさばきながら、左ボディーを放つ。井岡はプレッシャーをかけながらボディー攻め。(井岡10-9)

12R 井岡はガードを固めながらカウンターを狙う。ニエテスも積極的に出ることなく、変わらない攻防。井岡はボディー中心に攻めながら、最後まで危なげなく戦った。(井岡10-9)

※採点は本社

井岡一翔リベンジ達成で5度目防衛!日本歴代トップ世界戦通算20勝/ライブ詳細>>