4月29日に東京・有明アリーナで行われた「ONE SAMURAI 1」で宿敵ロッタン・ジットムアンノン(タイ)に5回TKO勝ちし、ONEフライ級キックボクシング暫定世界王座を獲得した“ナチュラルボーン・クラッシャー”武尊(34=team VASILEUS)が1日、都内で引退会見を行った。武尊はまず「先日の4月29日の試合をもちまして、僕は現役を引退することを決定しました」と改めて引退を明言。そして質問に答えた。以下、武尊の会見第1部の一問一答その4。
-今日はボクシングの前日計量があって、K-1のOBの武居由樹選手が武尊選手の試合を見て勇気とパワーをもらって感動したということをコメントしていました
「武居君はずっとK-1時代から一緒にやってきて、ボクシングに行ってからもすごい活躍していて。一回、挫折みたいなのを味わったと思うので、前回。K-1を代表してじゃないですけど、ボクシングで戦ってくれていると思うので。キックボクサーの強さ、K-1ファイターの強さを、ボクシングでも見せつけてほしいし。一昨日、僕の試合でパワーをもらってくれたんだったら、それもすごいうれしいことだし。僕は現役を引退しますけど、武居君はまだこれからなので。僕の試合でちょっとでも、そのパワーを使って頑張ってくれたらうれしいです。絶対、勝ってください」
-今回、絶対に勝ちたいという勝負に打ち勝った武尊選手にとって、強さとは
「難しいですね。強さとは。本当に必死すぎて、引退試合が決まってから、この試合で子供の頃からやってきたことが、約30年格闘技やってきてるんで、この試合終わるんだって思ったら、毎日、本当に必死だったんですよ。その必死だったのが、今回の強さにつながったと思うし。この引退を決めた理由も、公表してなかったんですけど、首のヘルニアに(なってしまって)。前回、ロッタン選手に負けた後ぐらいだったんですけど、もしかしたら、あれでなったのかなってぐらい、あの後ぐらいから首のヘルニアが発症しちゃって。本当にしびれも出たり、筋力も片方だけ落ちちゃったりとかあったりして。今までは、どれだけ殴られてもいいやって思ってたし、人間は簡単には壊れないって思ってたんで、多少もらってもいいやとか、練習中も多少無理してもいいやと思ってたのが、だんだんそうできなくなってきた自分がいて。そうなった時に、それが弱さに変わるんじゃなくて、僕はそれが逆に強さに変わったっていうか。自分の弱いところを、壊れるんだとか、倒されるんだっていうのを知れたことが逆に強さに変わったのかなって。だからこそ今回、勝てたのかなっていうのは思うんで。僕の東京に来て最初の師匠の前田(憲作)先生も、ずっと試合前に、必死のやつが必死でないと勝てないよっていうのをずっと言われてて。今回の試合前も連絡をいただいて、全く同じことを言われて、必死でいけっていう。それが僕が思ってた強さのところと一緒だったんで。えだから必死にやることかなって思います」
-試合の後に格闘技界を一つに盛り上げたいという、本当に信念あるメッセージをおっしゃって。多くのファンとか格闘家が共感を示されていました。改めて各団体のエースの選手だったり、人気選手だったり、ファンに対して伝えたいことがあれば聞かせてください
「なんか本当にすごい、今回の試合の後もK-1だったり、RIZINだったり、RISEだったり、KNOCK OUTだったり、本当にいろんな団体の選手が僕の名前を出してくれて。みんながこうほめてくれるっていうか、すごくうれしいことだし、ありがたいんですけど全然、僕はそんな大した人間だと思ってないし。選手としても僕より技術があって、スピードもパワーもあって、僕より良い選手がもっとたくさんいると思うんで。そんな中でも、本当に試合の後のマイクでも言わせてもらったんですけど、僕が先頭で引っ張らせてもらって。なんか、武尊ばっかり目立って面白くないなって思ってる選手もたくさんいたと思いますし、俺の方が強いなって思ってる選手もいっぱいいたと思うんですけど。そんな中でもこうやって、みんなでメッセージを送ってくれたり、試合の前も、全く面識ない選手からも『絶対勝ってください』っていうメッセージを言われたのがすごくうれしくて。僕は本当に格闘家として100点の選手ではないし、戦い方も全然きれいじゃなくて、才能もそんなにあるわけじゃないし。だけど、こうやってみんながついてきてくれたおかげで格闘技界を一緒に盛り上げられたと思うんで。僕が上から今のファイターたちに言うことっていうのは本当に特にないっていうか。だけど本当に格闘技って素晴らしいパワーがあって、人間だれもつらい時があって苦しい時があって痛い時があって、そういう時がある人たちに格闘技って本当にこの直接的な痛みだったり苦しさっていうのを見せて、その上で勝って勇気を与えられるスポーツだと思ってるんで。こんだけ素晴らしいスポーツを、なくしちゃいけないと思うし。もっと他の野球やサッカーやバスケットボールやオリンピックだったり、そういうスポーツに負けないパワーを持ってるスポーツなんで。この熱を絶対なくしてほしくないなっていう、もうそれだけですね。なので僕は裏方でもなんでも、僕の今までやってきたことで身についた影響力だったりとか、僕がなんかすることで格闘技が一つになるんだったら裏方でも何でもやるつもりなんで、一緒にこれからも格闘技を盛り上げていきましょう、っていうのをみんなに言いたいですね」
-首のヘルニアになったという話を今、聞いたんですけど、その時、奥様はもうやめてくれとは言わなかったんですか
「本当に奥さんは強い人なんで、そういうことは絶対言わないんですけど、絶対心配だったとは思うし。子供と遊んであげられるくらいの体をちゃんと残してあげてほしいとは言われました」
-それを言われて武尊選手はどう説得したんですか
「説得というか、僕に何を言っても言うことを聞かないというのを分かっているので。その時くらいですかね、言われたのが、あんまり良くない表現かもしれないですけど、試合で当たり所が悪くて、全身麻痺になっちゃったりとか、体が動かなくなっちゃったりして、僕が引退した後、お金稼げなくなっても、同じようなレベルの生活はできないと思うけど、私が働いて稼ぐから最後まで悔いなくやり切ってというのを言ってくれて。それはすごいうれしかったし、この人と結婚して良かったなと思いました」
-4年前、THE MATCHで那須川天心選手と対戦されて、その試合の直後の会見で武尊選手がお互いに格闘技界にいるうちは2人では会いたくないということをおっしゃっていました。今、天心選手と会ってみたいという気持ちはありますか
「会ってもそんなに、しゃべることないって言ったらあれですけど(笑い)。しゃべらなくても通じ合ってるっていうのも気持ち悪いですけど。何か、天心選手は天心選手の考えがあったり、思いがあってやってて。僕もまた、天心選手とは違った思いを持って。結構、人間的には違うタイプだなっていう風に思ってるんで。分かり合えないって言ったら、すごい悪い感じに聞こえると思うんですけど。それを逆にお互い分かってるだろうなっていうのがあって。だからこそ、僕が思ってることとか、やってることとかも、言わなくても天心選手は分かるんだろうなとか。分かり合えないけど、分かってくれるって、ちょっと難しいですけど(笑い)。だろうなっていう感覚がすごいあるんで。会ってしゃべってみたいとかは、今はまだないですけど。まあ、分かんないですけど、お互い引退して、お互いもうちょっと丸くなったら、楽しくしゃべれたりするのかなと思いますけど。今は天心選手はまだ現役で、厳しいところで戦ってるんで、僕と緩くなることもしなくていいと思うし。僕は僕で、もう先に引退したんで。遠くからじゃないですけど、戦友として、応援してます。競技は違いますけど、格闘技は一緒だと思うので。僕たちの影響力だったり、今までやってきたことを使ってこの業界が盛り上がるんだったら、天心選手と協力して何かやれたらなと思うし。格闘技界を盛り上げたいという意味では天心選手と全く同じ気持ちだと思うので、そういう部分で何かできることがあったら、僕は何度も協力したいなと思っています」

