WBA世界スーパーフェザー級王者内山高志(31=ワタナベ)に「パッキャオ超え」指令が下った。18日、ダブル世界戦(11年1月10日、東京・有明コロシアム)の開催が都内で発表された。内山のV3戦は同級暫定王者ホルヘ・ソリス(31=メキシコ)との王座統一戦。ソリスは現6階級制覇王者パッキャオ(フィリピン)に07年に8回KO負けしており、渡辺均会長(60)は内山にパッキャオよりも早い7回までのKO勝利を要求した。WBA世界スーパーバンタム級王者李冽理(28=横浜光)は同級6位下田昭文(26=帝拳)と初防衛戦を行う。

 内山は笑うしかなかった。会見で、隣の渡辺会長から「私の予想は大体あたります。パッキャオが(ソリスに)8回(KO勝利)だから7回までにKOしてほしい」といきなり要求された。王座奪取から3連続KO勝利中の内山だが「まあ、会長はよくそういうことを言うので…」と苦笑い。「KOは狙ってできるものじゃないですから」と「7回までにKO」のリクエストには無関心を強調した。

 だが「パッキャオ超え」という響きには反応した。「パッキャオは参考にしていますから」。学年が1つ上で、13日に史上2人目の6階級制覇を達成したアジアの英雄を「動いて打たせないところとかパンチをまとめる時の動きとか、すごいです」と尊敬している。そんなパッキャオが2階級を制していた07年、ソリスは8回まで戦い抜いた。かつて、その試合を見た内山は「ソリスは前から試合も見ていたし、名前もあるし強い選手と思っていた。これまででいちばん強いと思う。勝てば自分の名前が海外にも広まる」。自ら参考にしているパッキャオと拳を交えるほどの実力者ということが、さらにモチベーションを上げている。

 V3に向けて追い風も吹いた。メキシコ開催の可能性もあったが、日本開催で決着。標高約2200メートルという敵地での合宿計画もキャンセルとなり「いつもと同じように生活できるからプラス」と喜んだ。「ワクワクしていますよ。チャンスがあれば倒しにいきますが、僕は勝てればいい」。決して大風呂敷は広げない。いつも通り、「KOダイナマイト」は自然体で「パッキャオ超え」での王座統一を果たす。【浜本卓也】