<UFC“最強”への挑戦(5)>

 幼いころ、体が小さくていじめられたフランク・エドガー(30=米国)は今、世界最高峰のUFCでライト級「絶対王者」へ歩みを進めている。2階級制覇王者BJ・ペンから王座を奪うなど、08年7月から5勝1分け(TUFでの1勝を除く)の無敗。「防衛するたびに重圧は大きくなる。でも、それを乗り越えるのが王者の宿命」。日本で迎える4度目の防衛戦もまだ、通過点にすぎない。

 ライト級では小柄な167センチ。相手との体格差を補い、確実にポイントを稼ぐ戦い方を追究してきた。パンチを打ち込んでは離れ、再び間合いを詰める「ヒットアンドアウェー」の戦いを追究してきた。どんなダメージを受けても衰えない体力とフットワークは、試合を重ねるごとに磨かれ、観衆を魅了した。

 BJとの王座奪取戦で判定が物議を醸すと、4カ月後の再戦では同じ判定ながら内容で圧倒。グレイ・メイナードとのV2戦ではKO寸前まで追い詰められながら、驚異的な回復と猛反撃で引き分けた。9カ月後の再戦でも1回に2度のダウンを喫しながら息を吹き返し、4回に大逆転のTKO勝ち。王者の実力に疑問を持つ者はいなくなった。

 今回迎え撃つのは、元WEC世界ライト級王者で現在3連勝中のベンソン・ヘンダーソン(28=米国)。上背で王者を8センチ上回り、運動量と攻撃性は互角と言われる。手の内を知り尽くしたこれまでの挑戦者とは異なる、新たな“刺客”。エドガーは「ファンが楽しめる試合にする」と誓った。どんな進化を見せるのか―。自身のニックネームでもある「アンサー(答え)」を用意して、オクタゴンに立つ。【山下健二郎】