新関脇御嶽海(24=出羽海)が、東前頭4枚目宇良との同期対決を制した。ともに15年春場所で初土俵を踏んでから、この日が初顔合わせ。大学時代に1度だけ対戦経験があり、そのときは御嶽海が完勝している。脳裏に残っている得意イメージのまま押し倒し、5勝目を挙げた。同じく同期の平幕北勝富士を2日目に下しており、世代交代を狙う若手の先頭に立った。

 迷いはなかった。御嶽海は宇良に何もさせなかった。立ち合いでちゅうちょなく正面から踏み込んだ。距離を取ろうと、土俵を逃げ回る相手を、追いかけ続けてはぶつかった。たまらず背中を向けた隙を見逃さずに、押し倒した。

 アマチュア時代に1度だけ戦った。東洋大3年だった13年、全国選抜和歌山大会決勝で関学大の宇良を破って優勝。その時も、この日と同じように、低く入ってくるところを正面からぶつかり、土俵に追い込んで豪快に突き倒した。その手応えは4年たっても忘れなかった。「やってくるパターンは一緒。レパートリーは多くない。しっかり見ること。当たって前に出るだけ」と、この日の朝稽古からイメージは出来ていた。

 4年ぶりの対戦を終えて実感したことがあった。「学生の時よりは強くなっている」と成長に感心。一方で「番付が下の相手には落とせないという気持ちがありますね。プレッシャーはなかったです」と関脇としてのプライドがあった。大学時代の勝利も「初顔合わせだから。初顔合わせという気持ちで」と、油断は一切なかった。

 1横綱2大関を撃破した、同学年で同期の北勝富士にも、2日目に完勝した。報道陣から、これからの世代交代を期待されると「そんな簡単じゃないけど、そうなれるように先頭に立っていたい」と責任感を口にした。堂々と新世代の中心に立つ覚悟だ。【佐々木隆史】