大相撲の横綱日馬富士(33)が鳥取市内で平幕貴ノ岩(27)に暴行し負傷させた問題で、鳥取県警が17日、東京都内で、日馬富士の任意の事情聴取を始めたことが捜査関係者への取材で分かった。県警は事実関係や暴行の経緯を解明し、傷害容疑での立件の可否を検討する。

 ビール瓶での殴打の有無を巡り関係者証言に食い違いがあり、貴ノ岩のスマートフォンの操作がきっかけとされる動機面も捜査の焦点となる。

 発生当時、現場の飲食店に居合わせた関係者らは警察や消防に通報をしていなかった。県警は、貴ノ岩側からの被害届の提出を受けて暴行を把握していた。

 捜査関係者によると、県警は、都内や九州場所開催中の福岡へ既に捜査員を派遣している。

 また、貴ノ岩の診断書は、右中頭蓋底骨折などの疑いとした福岡市内の病院のほか、発生直後に受診した別の病院のものがあり、内容が異なることも判明。発生直後に受診した病院の診断結果は、福岡での結果に比べ症状が軽かったとみられ、貴ノ岩は被害届と合わせて県警に提出した。

 巡業中の稽古などで重症化した可能性もあり、県警は経緯を調べる。

 林芳正文部科学相は17日の閣議後の記者会見で、日本相撲協会に事実関係の迅速な解明と調査結果の報告を求める考えを示した。

 休場中の日馬富士は16日夜、福岡県太宰府市の部屋宿舎を出て、空路で都内へ入った。羽田空港では、報道陣の問い掛けには終始無言だった。

 捜査関係者によると、日馬富士は、10月25日夜から同26日未明にかけて滞在した鳥取市内の飲食店で、貴ノ岩の頭部を素手で殴るなどしたとされる。

 ビール瓶で殴打したとの関係者証言もあるが、同席していた白鵬は「ビール瓶では殴ってはおりません」と説明。持ったものの、手から滑り落ちたという。

 県警は、発生時間や座っていた場所など具体的な状況を確認。きっかけは、生活態度を注意していた際にスマホを気にしたこととされるが、酒席以前の2人の関係を含め詳しく調べる。