東前頭6枚目の魁聖(31=友綱)が、平幕の隠岐の海を押し出しで下して、新入幕で臨んだ11年5月の技量審査場所以来となる中日勝ち越しを決めた。今場所は、大好きなテレビゲームを東京から持参。毎日寝る前にゲームで遊び、リフレッシュして本場所に臨んでいる。残り半分となった場所を、同じく全勝を守った横綱鶴竜と引っ張る。

 魁聖が中間地点を、いとも簡単にクリアした。ここまで8勝7敗と、ほぼ五分の合口だった隠岐の海。クリア率約50%の相手を寄せ付けなかった。互いに正面からぶつかると、一気に土俵際まで追い込み、下から丁寧に胸を突いて上半身を起こさせた。必死の抵抗も許さず、胸を一押し。3秒で難敵をクリアした。

 新入幕以来の中日勝ち越しに、支度部屋では満面の笑みを見せた。ただ「めっちゃ緊張した。途中まで力が入らなかった」と取組前の仕切りで足が震えたという。それでも、何とかメンタルを持ち直して快勝。「前に出るしかないと思っていた」と正面突破が攻略のカギだった。

 連日、気負うことなくリラックスムードが漂っている。理由は「寝る前のゲーム」だ。今場所は東京の部屋から、人気テレビゲーム機「任天堂スイッチ」を持参。寝る前に1時間、遊ぶのがルーティン。車での移動中は、スマートフォンのアプリゲームをするほどのゲーム好き。「コカ・コーラ飲みながら任天堂スイッチで遊べば懸賞つくかな」と、大好きなコカ・コーラと任天堂からの“ボーナス”を期待している。

 全勝は横綱鶴竜と2人だけ。ここまでの好調ぶりに、優勝の2文字も目の前にちらつくはず。だが「ケガしないように星を伸ばせればいいです」と控えめの目標。南半球出身力士初の幕内優勝へ、残り7ステージのノーミスクリアを目指す。【佐々木隆史】

 ◆魁聖一郎(かいせい・いちろう)本名・菅野リカルド。1986年12月18日、ブラジル・サンパウロ市生まれ。日本人の祖父母を持つ日系3世。友綱部屋所属。ブラジル出身の元十両若東の紹介で06年7月に来日し、同年秋場所初土俵。最高位は関脇。趣味はゲームとパソコン。好物はコーラ。家族は両親と弟、妹。194センチ、205キロ。血液型A。