史上最多を更新する42度目の優勝を果たした横綱白鵬(34=宮城野)に、再び苦言が呈せられた。

日本相撲協会の諮問機関である、横綱審議委員会(横審)は、大相撲春場所千秋楽から一夜明けた25日、東京・両国国技館で定例会合を開いた。約30分の会合で多くの時間が割かれたのが、千秋楽の優勝インタビュー後、白鵬が場内のファンに促し、三本締めを行ったことだった。

このことについて、矢野弘典委員長(78=産業雇用安定センター会長)は、会合内で「話題になり、いろいろな意見が出ましたが、違和感を覚える人が多かった」と説明。そもそも三本締めは全てが終わってから行うもので、各種表彰式、出世力士手打式、そして最後に「神送りの儀式」が終了して、場所が終わるというのが認識だ。「優勝した横綱といえども、そういうことをやれる立場なのかという疑問がある。会場中が手拍子でいっぱいになってビックリしました」と個人的な感想も述べた。

白鵬は17年九州場所でも、優勝インタビュー後に万歳三唱を促してファンと行ったばかりか、インタビュー中には、当時、暴行問題のまっただ中にあり、休場した加害者の横綱日馬富士(九州場所後に引退)と被害者の貴ノ岩(昨年引退)の名前を挙げ「土俵に上げたい」と声を大にした。この問題についても横審で話題になり、その後、理事会で師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)と本人が呼ばれ厳重注意された経緯がある。

その前例も会合内では話題となり「万歳三唱がダメで三本締めならいいのか」など、厳しい意見が出たという。同委員長は「具体的に(横審としての)提言ではないが(会合の)全体として『おかしいのでは』という違和感があった」と説明。「理事会として再度、どう考えるのか」と協会の姿勢を問いかけた。

定例会合に出席した日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「協会を引っ張っていく第一人者としては、あるまじき行為ではないかというご意見があった。協会にも(ファンから)苦情など賛否両論の声が届いた。古き、古式ゆかしきものは残さないといけない。言動、行動で分かってもらわないといけない」と話した。今後、理事会などに呼び再度、注意するなどについては、現状では「段取りは分からない」と未定であるとし「後日、対処します」と協会としてのスタンスを示すことを示唆した。