大関から陥落、夏場所(12日初日、両国国技館)で出直しを期す関脇栃ノ心(31=春日野)が8日、体調管理に新治療を試したことを明かした。膝に古傷を抱える右脚のうっ血を改善するため、吸血動物ヒルに血を吸わせるもので、5日に右ふくらはぎ内側、右足甲の2カ所でトライした。

「マッサージ、電気、鍼(はり)の繰り返しなんで、何か新しいのがないかなとお願いした」という栃ノ心は、いざやってみて「ビックリしたよ」。細いヒルがぴたっと吸い付くと、見る間に巨大にふくれ上がり、最後は勝手にポトリと落ちた。「最初にチクッとして、血が吸われてるのがわかった」。ちなみにヒルはイタリア産だとか。

ヒル効果もあってか、本番が迫る中で調整は順調だ。この日、出羽海部屋に出稽古を行い、御嶽海、同部屋の碧山、栃煌山と相撲を13番取って8勝5敗。立ち合いで反り返る悪癖が影を潜め、力みない踏み込みから、低く前に出る取り口が目立った。右手親指と人さし指で6~7センチの隙間を作って「左の踏み込みがもう少し出てきたら、左で(前)まわしに手が届くんだけどね」と明るい表情を見せた。

10勝で大関復帰となる場所へ。「調子いいよ。でも、そう言ってて負けたら“アイツは口だけだ”と言うんでしょ?」と冗談まじりに笑う。「気持ちがね。プレッシャーがないよね。負けたら…とか思わないからね」。大関という“肩書”から解放され、珍療法の効果もあり、優勝争いも視野に入れる勢いだ。