14場所ぶりに幕内復帰した東前頭17枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、30場所ぶり2度目の優勝を果たした。単独トップの12勝2敗で迎えた千秋楽。敗れれば優勝決定ともえ戦にもつれ込む一番で、関脇御嶽海を破った。両上手を取って直進。大関経験者が、力で大関候補をねじ伏せた。

取組後、照ノ富士は晴れやかな表情でNHKのインタビューに対応し「いろんなことがあって最後にこうやって笑える日がくると信じてやってきた。一生懸命やったらいいことがあると。やってきたことを信じてやるだけだと思っていた」と話した。

14日目には同部屋の照強が新大関朝乃山を破る“援護射撃”も受け、15年夏場所以来の優勝が決まった。照ノ富士は殊勲賞、敢闘賞の三賞2つも獲得。両膝のけがや内臓疾患を乗り越え、序二段から史上初の幕内復帰を果たした不屈の男が、劇的なカムバックを遂げた。

前回優勝したのは5年以上前になる。照ノ富士は「イケイケのときに優勝してる。今は慎重に、ひとつのことに集中してやってきた。それが違う。こうやって笑える日がきてうれしい」と喜んだ。

朝乃山は史上9人目の新大関優勝を、関脇正代は初優勝を、関脇御嶽海は史上初の関脇以下で3度目となる優勝を逃した。

朝乃山は結びで正代を破って12勝3敗。横綱不在の場所で看板力士の責任を果たした。