4場所連続休場明けの横綱白鵬が、平幕の宝富士を小手投げで下して初日から2連勝とした。
立ち合いで、左手を相手の顔の前に出してけん制。互いに右を差す形になると、土俵中央で静止した。一呼吸置き、宝富士が前に出てきた瞬間に、タイミングよく体を開いて小手投げで転がした。
昨年11月場所後に横綱審議委員会(横審)から「注意」の決議を下されたが、新型コロナウイルスに感染して1月の初場所を休場。厳しい状況に立たされながらも、史上最多44度の優勝を誇る第一人者が奮闘している。昨年春場所以来となる45度目の優勝に向けて、残り13日間土俵に上がる。
大関復帰に挑む関脇照ノ富士は、若隆景を押し出しで下して2連勝した。立ち合いは、左で張って捕まえた。まわしが取れず、若隆景に右差しを許したが慌てなかった。差された右腕を抱えると、力強く振って若隆景の体勢を崩して押し出した。大関昇進の目安となる「三役で3場所33勝」まで残り7勝とした。
かど番の大関貴景勝は、先場所優勝の小結大栄翔を突き落としで下して2連勝した。立ち合いからしつこく何度も、下から低くぶつかりながら腕を伸ばして攻めた。大栄翔に突き押しで対抗されたが力勝ちし、体勢を崩した相手を左の突き落としで土俵にはわせた。
初日黒星を喫した大関正代は、阿武咲を下して初日を出した。立ち合いこそ阿武咲の突き押しに押されて後退したが、土俵際で我慢。阿武咲の引きに反応して、きっちりと足を運んだ。
大関朝乃山は、小結高安に寄り倒しで敗れて1勝1敗とした。立ち合いから後手に回り、まわしが取れず。先に高安に左上手を取られると防戦一方となった。何とか右でまわしを取ろうとするも、取らせてもらえず。じりじりと土俵際に寄られて寄り倒された。
2日目の取組模様を写真で振り返ります。
大相撲春場所 全取組詳細
大相撲春場所見どころ
決まり手係驚く初日寄り切りなし…「大型化」傾向で
幕内
- 朝乃山(下)を寄り倒しで破る高安(撮影・河田真司)
- 高安に寄り倒しで敗れ、土俵下に拳をつく朝乃山(撮影・河田真司)
貴景勝(2勝0敗) | ○ | 突き落とし | ● | 大栄翔(0勝2敗) |
☆貴景勝(相手が先場所優勝の大栄翔)「実力があるので、自分も向かっていく気持ちでやった。(3日目以降に向けて)毎日初日だと思って明日から頑張っていく。(場所前は部屋の引っ越しもあり)新しい環境で、いい環境でできているので、感謝しながら明日からもやっていきたい」
★大栄翔「自分から先に攻めたかったが、大関の相撲をとられてしまった。立ち合いもよくないんで、しっかり切り替えてやっていかないといけない」
- 大栄翔(右)の攻めに耐える貴景勝(撮影・河田真司)
- 大栄翔に勝利した貴景勝に声援を送る子どもたち(撮影・鈴木みどり)
阿武咲「楽しんでいくだけ」場所前30番の白鵬戦
☆正代「とりあえず今日は初日が出て、連敗しないのが良かった。このまま落ち込んだままいくよりは、早い段階で初日を迎えて、そこから星をつなげられたらなと思っていた。まだ硬さは抜けていないけど、土俵際までしっかり寄れたんじゃないかと思う」
★阿武咲「最後まで小さくなりきれず、伸びてしまった。(調子は)悪くないと思う。意識することは、相手に集中するだけです」
- 阿武咲(右)の攻めに耐える正代(撮影・河田真司)
- 阿武咲(右)を押し出しで破る正代(撮影・鈴木みどり)
北勝富士(1勝1敗) | ○ | はたき込み | ● | 隆の勝(1勝1敗) |
☆北勝富士「土俵際を気をつけた。(最後の場面は)相手が足そろっているのが見えた。先手先手でいって、相手が引いてきてくれた。冷静に取れた」
- 隆の勝(右)をはたき込みで破る北勝富士(撮影・鈴木正人)
照ノ富士(2勝0敗) | ○ | 押し出し | ● | 若隆景(0勝2敗) |
大関とり照ノ富士「重圧感じず」イメージ通り2連勝
☆照ノ富士(若隆景は)「小さい相手。動きがいいから、右手をつかまえる、取りたいと思っていた。(大関とりの重圧)プレッシャーとか感じていない。1日一番思い切ってやるだけと思っている」
- 若隆景(左)を攻める照ノ富士(撮影・鈴木正人)
☆御嶽海「前に出れば負けないと思ってやっている。(圧力が)相手にしっかり伝わっているんで、よかったと思う」
- 明生(手前)を攻める御嶽海(撮影・鈴木正人)
妙義龍(2勝0敗) | ○ | 寄り切り | ● | 志摩ノ海(1勝1敗) |
押し相撲同士 妙義龍が志摩ノ海を寄り切り2連勝
☆妙義龍(昨年秋場所以来の連勝発進)「いつも通りまた明日、集中して頑張ります。(目標は)15日間、けがなく乗り切ること」
★志摩ノ海「頭が浮いたんで。頭が浮くとダメなんで。頭を上げないで、自分の相撲をとりきりたい」
- 志摩ノ海(左)を攻める破る妙義龍(撮影・鈴木みどり)
- 霧馬山(右)の攻めに耐える遠藤(撮影・河田真司)
逸ノ城(2勝0敗) | ○ | 極め出し | ● | 隠岐の海(1勝1敗) |
- 隠岐の海(左)を極め出しで破る逸ノ城(撮影・鈴木みどり)
- 玉鷲(左)の攻めに耐える栃ノ心(撮影・河田真司)
- 栃ノ心(奥)をはたき込みで破る玉鷲(撮影・河田真司)
☆輝「しっかり中に入れないよう、落ち着いて対処できたと思う」
- 翔猿(左)を送り倒しで破る輝(撮影・河田真司)
琴ノ若(1勝1敗) | ○ | 叩き込み | ● | 千代の国(1勝1敗) |
- 千代の国(左)を叩き込みで破る琴ノ若(撮影・鈴木みどり)
竜電(0勝2敗) | ● | 浴びせ倒し | ○ | 豊昇龍(1勝1敗) |
☆豊昇龍「自分の思った相撲はとれなかったが、今場所初の白星なんで緊張した。(相撲の)いい悪いとか考えてなかったんでよかったです」
- 竜電(後方)を浴びせ倒しで破る豊昇龍(撮影・鈴木正人)
翠富士(2勝0敗) | ○ | 押し出し | ● | 千代大龍(1勝1敗) |
- 千代大龍(右)を押し出しで破る翠富士(撮影・河田真司)
- 千代大龍と翠富士の一番で物言いがつき協議する審判団(撮影・鈴木みどり)
☆碧山「当たって前に出る相撲を目指している。(初日から2連勝は)久しぶりなのでいい感じです。(締め込みの色を青色から緑色に変更したことについて)もともと古くなっていた。今まで作ってくださった方に色を自分で決めてと言われて、私の字(しこ名)は「あお」とも読めるし、「みどり」とも読めるので妻と考えて決めた」
- 琴勝峰(左)を突き出しで破る碧山(撮影・鈴木みどり)
- 照強(左)を送り出しで破る明瀬山(撮影・鈴木正人)
- 剣翔(左)を寄り切りで破る千代翔馬(撮影・鈴木みどり)
☆琴恵光「中に入って攻めることだけを意識しました。先手を取ろうということで、自分の流れで相撲が取れている」
★豊山「立ち合いがすべてだった。動き自体は悪くないんで、大事なところをしっかりやりたい。とにかく勝ち越さないといけない。期待してくれている人たちを裏切り続けているんで、ピリッとした相撲をとらないといけない」
- 豊山(下)を突き落としで破る琴恵光(撮影・鈴木みどり)
☆英乃海「がっぷり組まずにとろうと思っていた。その通りにいけてよかった。(2連勝は)もちろん気分いいです。この調子で考えた相撲をとっていければ」
- 大奄美(右)を寄り切りで破る英乃海(撮影・河田真司)
- 天空海(左)を送り出しで破る魁聖(撮影・河田真司)
幕内土俵入り
- 幕内土俵入りする、左から照ノ富士、貴景勝、正代(撮影・河田真司)
十両