小結御嶽海(28=出羽海)が後輩に、2大会連続五輪金メダルの夢を託した。

御嶽海は16日、大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)に向けた朝稽古後、報道対応。先の競泳日本選手権の男子200メートル個人メドレーで東京五輪代表の座をつかんだ、16年リオデジャネイロ五輪金メダリストで、東洋大の後輩にあたる萩野公介に「五輪で金メダルを取って、自分に大きな刺激を与えてくれることを楽しみにしている」と期待を込めた。

ライバルの瀬戸に0秒02差と競り負けながら代表に選出された、かわいい後輩とはレース後に電話で言葉を交わし「0秒02差の僅差でも五輪に出られることになって良かったな、頑張って、と伝えた」と御嶽海。5月に萩野が、御嶽海の故郷・長野にある高地トレーニング用プール(東御市)で合宿することを聞くと「食材を差し入れする」と約束したそうだ。

東洋大卒業後も、たまに食事に行く間柄だが、コロナ禍とあって、その機会を奪われたままだ。それでも萩野が休養中に「プロの道を選んだ者の責任として、遠回りをしたとしても、やり続けることが大事」とアドバイスしたという。肝臓の数値異常で入院するなど一時は引退もよぎった後輩は、今大会では五輪連覇のかかった400メートル個人メドレーを回避。その決断に「種目を絞って出場したことが良かった」と話し「水泳から距離を置いて分かったこともあったと思う。苦しい時期があるのはセンス、能力があるからこそ」と心中をおもんぱかった。

この日の稽古は約2時間。四股、てっぽう、すり足などの基礎運動と、土俵内では幕下以下の2人に胸を出した。2度の優勝で次期大関候補の期待を背負いながら、朝乃山、正代、そして復帰した照ノ富士(29=伊勢ケ浜)に大関の座を奪われた。そんな現状にも「勢いがあって一気に2歩、3歩と進んでいる関取がいたとしても、今の自分は1歩ずつ着実に進むことが大切だと思っているし、進んでいる実感もある」と意に介さない。後輩の復活劇に自分を重ね合わせるように、角界の看板力士を目指す。