9年ぶり史上6度目の千秋楽全勝対決となった結びの一番は、横綱白鵬(36=宮城野)の執念が横綱昇進を確実にしている大関照ノ富士(29=伊勢ケ浜)を上回る形で決着がついた。

白鵬は立ち合い、左をかざして右からのかち上げで気勢を制した。互いに離れて鬼の形相で繰り出す張り手の応酬も、やや白鵬に確実性があったように見えた。右を差し左上手を引き、照ノ富士には上手を与えなかった。巻き替えにくる照ノ富士の右腕をきめるように小手に巻きながらの投げを執拗(しつよう)に打った。3度目の下にたたきつけるような小手投げで今場所15個目の白星をもぎ取った。

日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は、横綱が見せた荒々しい相撲を「まあ、勝負に徹したということでしょうね」と淡々とした口調で話した。「全勝優勝については」の問いにも、一呼吸置いて「立派ですよね」と、さほど抑揚のないトーンで発した。

前日は、横綱として前代未聞の土俵際からの仕切りに「普通、奇襲は弱い方がやるもんだけど、勝ちたかったんでしょうけど、これだけ優勝回数をしている横綱が、ああいうことをしてはいけない」と苦言を呈していた。この日の取組前には「(ここまでの14連勝は)白鵬の底力でしょう。あとは負けず嫌いの精神力」と評価していた。