大相撲で平幕の豊昇龍(22=立浪)が28日、先月30日に現役引退した間垣親方(元横綱白鵬)との対戦が実現しなかったことを残念がった。東京・台東区の部屋での稽古後、報道陣の代表取材に応じ「9月場所は絶対やると思って、本当に楽しみにしていた。横綱の胸を借りて相撲が取ってみたかった」と話した。

元横綱朝青龍をおじに持ち、モンゴルで小さい頃から大相撲をテレビ観戦していた。当時から頂点に君臨していたのが間垣親方。「白鵬関は自分のおじさんともやったことがあるし、45回優勝した人ですし、すごい人なので1回でも取ってみたかった」。自身が三段目の時と、新十両の時に稽古をつけてもらったことがある。「白鵬関は柔らかいですけど、当たると硬いです。1回本気で立ち合い当たったことあるんですけど吹っ飛ばされました」。若い衆の頃に「早く上がってこないと俺が辞めちゃうよ」と言われたこともあったが、ついにかなわなかった。

間垣親方が全勝優勝を果たして最後の場所を飾った名古屋場所で、エールをもらっていた。豊昇龍は同場所で初めての技能賞を獲得し、千秋楽では表彰式に参加するため、取組後も支度部屋に残っていた。「(白鵬が支度部屋に)戻ってきて、会って、あいさつして『おめでとうございます』と言ったら『がんばれよ』と。『次お前らが頑張るんだぞ』と言われて。そこで引退するとは思わなかったですね」。

間垣親方の期待に応えたい22歳は、九州場所(11月14日初日、福岡国際センター)に向けて慎重に調整を進めている。「2週間、1週間前」の稽古で左手首を負傷。前日27日は稽古を休み、病院で診てもらった。「(医者からは)筋肉を痛めていると。何もしなければすぐ治るけど、何もしないということはないので。(稽古を)しながら治すしかないので。九州場所までには治ると思います」。この日は相撲を取らず、四股やすり足などの基礎運動で体を動かした。

東前頭筆頭で新三役が懸かった9月の秋場所は、急性へんとう炎で休場した影響もあり、5勝8敗2休に終わった。再出発の九州場所に向けて「2年ぶりの九州場所なのでしっかりやっていきたい」と意気込んだ。