かど番の大関正代が逸ノ城の全勝を止めた。過去4勝12敗と苦手にしていた相手。気迫にあふれた立ち合いで、逸ノ城が得意の右差しを許さず、左からいなし、下からの攻めで最後は押し出した。今場所初の連勝で3勝4敗とした。 全勝力士はいなくなったが、1敗も逸ノ城だけで単独トップは守った。 大関貴景勝は阿炎の意表を突く変化気味の立ち合いからの上手投げに屈し、3敗目を喫した。 横綱照ノ富士は業師の宇良をきめ出し、逸ノ城に1差となる2敗を守った。

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いつもは仏のような正代の表情が鬼に変貌した。気迫に満ちた立ち合いから逸ノ城の巨体を攻めたてて押し出した。NHKの解説を務めた元横綱の北の富士氏が「人が違うな」とつぶやいたほど別人のような相撲。全勝力士に土をつけ「この立ち合いと、迷いなく思い切りいけた」と言った。

逸ノ城には過去4勝12敗だった。前日の大栄翔も対戦前まで7勝12敗。「苦手意識」が開き直りを生んだ。「勝率悪かったので、新しいことをやってみようという気持ちになった」。立ち合いで膝の角度を変え、腰が割れるようにした。「初日からいろいろ考えて、ああいう立ち合いになりました。圧力をかけつつ起こされないように考えた結果です」ともがいた結論だ。

今場所初の連勝でも3勝4敗と厳しい状況は続く。「まだ成績がついてきていないので、ここから頑張りたい」。4度目のかど番も中盤から盛り返して脱出する-。そんな気配も漂ってきた。【実藤健一】

▽幕内後半戦の粂川審判長(元小結琴稲妻) 正代はいい相撲だった。初日からこれが出ないかと思うが。立ち合いから当たれていた。(うれしそうだったが、に)全勝を倒したんだから気持ちいいでしょう。(照ノ富士は)落ち着いていた。宇良は動かせなければいい。連敗もないし、不安はない。(貴景勝は)うまく注文にはまった。阿炎は腕が長いからあそこは届く。

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