大相撲の元横綱白鵬の宮城野親方(37)が5日、オンライン会見を開き、来年1月28日、東京・両国国技館で「白鵬引退宮城野襲名披露大相撲」を開催することを発表した。新型コロナウイルス感染拡大のあおりを受け、昨年9月の現役引退から、1年が経過し、ようやく開催が決まり発表にこぎ着けた。当日は横綱土俵入りでの露払い、太刀持ち役などにサプライズを予告した。いまもトレーニングに励み、現役時代と変わらぬ体での土俵入りを頭の中で描く大横綱の“最後の勇姿”となる。

数々の記録を樹立してきた宮城野親方が、ついにまげと別れを告げる日が決まった。きれいなまげを結い、スーツ姿で会見に臨んだ同親方は「15歳からずっとこのかたちで、これが自分の姿。一人前の力士としての魂が、このまげにあると思う。寂しいけど、この魂を弟子たちに受け継いでもらいたい」と、引退相撲で行われる断髪式への思いを語った。

昨年9月に現役引退後、ようやく開催日が決まった。新型コロナ感染拡大の影響により、ここ数年は現役引退後もなかなか断髪式が行えないまげ姿の親方が多くいる。しかし、今年に入ってから開催され始め、ようやく宮城野親方もめどが立った。開催日の来年1月28日は母タミルさんの誕生日。「丈夫に産んでくれた母、両親に感謝しながら最後の土俵入りに上がりたいと思います」と話した。

当日は会場内でしか購入できない引退記念グッズを販売する。他にサプライズはないか? と問われると「今はちょっと…。これから1つ1つ紹介していく」とニヤリ。「最後の土俵入り」と銘打った横綱土俵入りでの太刀持ちと露払いにサプライズ起用があるのか、についても「ということで」と含みを持たせた。異業種含め、各界と広い交流を持つ大横綱だけに、ビッグサプライズの可能性も十分ありそうだ。

引退後から体重は10キロ落ちたという。約4カ月後に迫った引退相撲での横綱土俵入りに向け、「名古屋場所からトレーニングを始め、稽古の基本からやっています」。歴代最多45度の優勝や幕内通算1093勝など、数々の記録を樹立した。「ファンの方が(自分の)体を見て『まだ、やれるんじゃないか!?』と思われるような体でやりたい」。引退相撲で再び、現役時のようにファンを沸かせる覚悟だ。【佐々木隆史】

◆引退相撲 力士が現役を退く際、引退を関係者に披露するために行う花相撲。コロナ禍以前は引退発表から半年~1年ほどの間に行われてきた。まげを落とす断髪式がメインで、通常は引退および年寄襲名披露相撲となる。力士会の会員になって30場所以上務めた者は国技館の土俵で開催できる。土俵を使えない場合は国技館内大広間やホテル、時には部屋での断髪式とパーティーが通例。必要経費を除いた収益は引退した力士に入る。横綱の引退相撲の際には横綱土俵入りが行われる他、断髪式では300人以上がはさみを入れるなど、大々的に行われる。