気持ちが折れそうな時、救いの手を差し伸べたのは父だった。大相撲の平幕明生(27=立浪)が27日、先場所勝ち越した原動力について父からもらった電話だったと明かした。所属する立浪部屋で稽古後に取材に応じ、秋場所10日目を終えて7敗を喫した時に「父からもらった電話のおかげで吹っ切れました」と感謝した。

10日目に平幕の錦木に屈して3勝7敗。勝ち越すにはもう負けられない状況で、父昌也さんから一本の電話をもらった。

明生 自分が悪い相撲を取って迷ったりすると、親は分かるらしいんです。いつもは優しいですけど、あの時はやっぱ迷いが出てた。それが伝わったのか電話で『何を迷ってんだ。負けたら、負けたでいい。負け方がよくない。迷って相撲を取るから、付いてくるもの(星)もついてこない。負けてもいいから自分を信じなさい。それで負けたら、稽古が足りないだけだよ』。そういう言われた後から気持ちが吹っ切れて5連勝できました。

新型コロナウイルスの影響もあってか、ここ数年は鹿児島県瀬戸内町の実家に帰ることができていない。それでも、両親と電話で会話を重ね、今回のように自分が気づかない点を指摘してもらうこともしばしば。「離れていても、一番やっぱり自分のことをわかってるんですよね」としみじみと言った。

1年を締めくくる九州場所(11月13日初日、福岡国際センター)。「九州出身なのでいつも以上に気合が入る。思わず声が出ちゃうような良い相撲を取って場所を盛り上げたい」と闘志を燃やした。【平山連】