大相撲名古屋場所(9日初日、ドルフィンズアリーナ)で大関昇進が懸かる関脇大栄翔(29=追手風)が4日、三重・鈴鹿市の部屋で稽古し、連続15番相撲を取って13勝2敗と、好調をアピールした。関取衆の申し合い開始から7分後に土俵に入った大栄翔は、そこから13分間、申し合いの最後まで土俵に立ち続けた。徹底して相手にまわしを取らせず、得意の突き、押しで攻め立てた。西前頭筆頭の翔猿、東前頭14枚目の大翔鵬、東十両9枚目の大奄美を次々と土俵の外に押しやった。

前日3日も同様に、10番連続で取って8勝2敗だった。多くの部屋が名古屋市近郊に部屋を構える中、同市は車で1時間以上、渋滞ならその2倍程度かかる距離に部屋があるため、連日、部屋で稽古。最近は連続して相撲を取っているという。「今、すごく疲れがたまっている時期だけど、それにしては、いい稽古ができていると思う」と、充実感を口にした。

今場所で同じく大関とりの豊昇龍、若元春の関脇2人と、同じ6月27日に会見し「(大関に)上がりたいと心から思うし、自分の力を出し切れば上がれるんじゃないかと思う」と、力強く語っていた。以前にも増して強い決意表明だったことについて、この日は「正式な大関とりは今回が初めて。そうなったからにはチャンスを生かせるように、自分の気持ちをしっかりと持ってやりたいと思って言った。言ったからには稽古しないといけないから。言うことによって、自分に甘えが出ないようにすることが大事。それに強い気持ちを持ってやりたいから」と、意図的に言い訳できない状況や自らを鼓舞する状況をつくるためだったと明かした。

今年11月で30歳を迎えるが「稽古場の感覚、本場所の成績、気持ちの面でも、常に去年よりも強くなったと思っている」と、実力は毎年、上がっている実感がある。自己最高位の更新に向けて、小結の春場所で12勝、関脇の夏場所で10勝を挙げてきた。大関昇進は、三役で3場所33勝が目安で、今場所は11勝程度が求められるが、目指すのはその上。「(優勝を逃した)3月の悔しさもあるし、優勝を目指して頑張りたい」。2度目の優勝と大関昇進の2つを、一気に目指すと決意表明。一段と自らを奮い立たせるつもりだ。