自己最高位、東前頭筆頭の錦木(32=伊勢ノ海)が波乱を起こした。

横綱照ノ富士(31=伊勢ケ浜)にもろ差し。外四つで攻め込まれたが、タイミング抜群のすくい投げを決めた。

錦木の金星は19年初場所の鶴竜戦以来2個目。初日は新大関霧島の休場による不戦勝で、「今日が初日だと思っていきました」。先場所8日目から続く白星を「10」に伸ばした。

「勝った瞬間? ヤッターと思いましたよ」。過去3戦全敗の照ノ富士との一番は「一発」にかけた。「(勝機は)もろ差ししかないと。最後に投げたのはたまたまだけど、(両肘を)きめられないよう対策もしました」。思い切りのよさが、横綱に早々と黒星をつけた。

関取になるまで10年を要した苦労人。4年ぶりの金星も「横綱とやれるところまで(番付が)これてなかったから。十両のけつまでいってますからね」。2年前の夏場所は西十両13枚目まで番付を下げ、そこから地道にはい上がってきた。金星以上に「(番付を)戻して上位とやれる喜び。最高の準備をしてきたし、少しは成長したのかな」とかみしめた。

8月で33歳は、今場所の幕内で7番目の高齢。「確かに疲れは抜けにくくなっている。それを含めたコンディション作りも仕事のひとつと思っているから」。遅咲きのブレークで次は新三役の座を狙う。

エネルギー源はいも焼酎。金星と16本の懸賞金を手にしたが、「いい生活費。ある程度の質があればあとは量。安いいも焼酎をたくさん買います」。金星に酔い、部屋に戻ってからも美酒に酔う。【実藤健一】

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