自己最高位の東前頭筆頭で臨んでいる錦木(32=伊勢ノ海)が、大関経験者で対戦成績も2勝5敗だった御嶽海(30=出羽海)を力相撲で振り切り、自己最速の9日目で勝ち越しを決めた。

やはり腰の重い御嶽海に、もろ差しを許し土俵際まで追い詰められた。だが、ここからが今場所の台風の目になっている錦木の本領発揮。外四つの不利な体勢ながら、力ずくで反対土俵まで寄り立てた。肩越しに取った右の上手は1枚まわしで伸びきっていたが、そんなことには構わず渾身(こんしん)の力で寄り立て、御嶽海を土俵外へ出した。

脇の甘さは錦木の泣きどころで、今場所7日目に琴ノ若に喫した今場所唯一の黒星も、そこを突かれたかっこうだった。だが、この日は脇の甘さを露呈しながら、力ずくでの給金相撲。これには、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)も「びっくりしたね」と驚きを隠せない様子。「二本差されて両上手から。あのへんが好調(の証し)だよね」と続けた。今場所を評して「重たいよね。年齢も32歳でしょう。しっかりしています。落ち着きがある」と精神面の充実ぶりも推測。その上で「これでホッとしないことです。まだ三役も三賞もないんでしょう。尻すぼみにならないよう、これから気合を入れてほしい」と期待した。

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