大関とりに挑む豊昇龍(24=立浪)が、北勝富士(八角)に押し出しで敗れて3敗目を喫した。過去5戦全勝と“お得意さま”だったが、重要な一番で星を落とす悔しい結果となった。大関昇進目安の3場所33勝に到達するためには、残り3日で1敗もできない状況に追い込まれた。

立ち合いから流れは北勝富士だった。強烈な突き押しで豊昇龍は体を起こされ、まわしを手にかけても取れなかった。横にいなして体勢を立て直そうと試みた際に左足が土俵外に飛び出して痛恨の黒星。得意な相手に自分の相撲をさせてもらえなかった。支度部屋での取材には応じず、無言で会場を後にした。

合口の良さを生かせなかったのは、今日だけではない。10日目の琴ノ若では対戦前まで10勝1敗だったが、立ち合いから防戦一方。土俵際での驚異の粘り腰を見せるのがやっとで、内容自体は完敗だった。その際にも支度部屋で取材に応じず、こわばった表情のまま会場を後にした。11日目に同じモンゴル出身の玉鷲から会心の白星を挙げて勢いに乗っていくかに見えたが、勝負の世界の厳しさを思い知らされた。

9日目に勝ち越しを決めて一時は優勝戦線のトップに並んでいたが、よもやの取りこぼしで後退。ここで踏みとどまらなければ、出世レースからも脱落する危機的状況で、正念場を迎えている。

◆豊昇龍智勝(ほうしょうりゅう・ともかつ)本名スガラグチャー・ビャンバスレン。1999年5月22日、モンゴル・ウランバートル市生まれ。千葉・日体大柏高から立浪部屋に入門し、18年初場所で初土俵。19年九州場所で新十両、20年秋場所で新入幕、22年春場所で新小結、同秋場所で新関脇。得意は右四つ、寄り、投げ。188センチ、142キロ。