昭和以降最速タイの所要3場所で新入幕の西前頭17枚目・伯桜鵬(19=宮城野)が優勝争いトップの錦木を自力で引きずり下ろした。鮮やかな内掛けで勝ち、2桁10勝目に乗せた。

「組みたくなかったが組まれてしまった」と得意の左四つも、腰の重い錦木を相手に胸を合わせる形で膠着(こうちゃく)状態となった。そこから自ら引きつける形で動き、左足を飛ばして内掛けを決めた。NHKの解説を務めた師匠の宮城野親方(元横綱白鵬)は「大変な力士が誕生しましたね。横綱に勝った力士を倒したんだから」と自身の弟子の底力に驚いた。

92年初場所を19歳5カ月で制した貴花田(のちの横綱貴乃花)以来の10代優勝も現実味を帯びてきた。12日目に小結阿炎に勝った相撲の後は、優勝争いに「今は相撲をとれることに感謝している」と言った。気負いもなく、19歳とは思えない堂々の振る舞い。「残り3日、やれることをやりたい」とだけ話していた。

「幕内は全員が化け物というか怪物」と表現していた。その怪物たちと渡り合い、残り2日となった。「いつも勝つために準備している。その上で勝てるのはうれしいし、自信になる」は日頃からの口癖。14日目は単独トップの北勝富士との直接対決で、自力で並ぶ可能性がある。

歴代2位の年少、所要4場所の超スピード優勝へ、まだマゲも結えない力士が前進していく。

 

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