大相撲の関脇で、大関昇進が事実上決まっている琴ノ若(26=佐渡ケ嶽)が、初場所千秋楽から一夜明けた29日、千葉・松戸市の佐渡ケ嶽部屋で会見を行った。千秋楽では本割で前頭翔猿を破り、13勝2敗で並んだ横綱照ノ富士との優勝決定戦に敗れた。初優勝を逃した取組後は涙を流して悔しがっており、この日も会見の開口一番「最後の一番は悔しかったし、その気持ちの方が強い。ただ、上には上がれたので」と、目標の1つを達成し、明るい表情を見せた。

父が師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)で、祖父は元横綱琴桜で先代佐渡ケ嶽親方(故人)という相撲一家で育った。父の番付を超えることができたが「大関で終わりではない。もう1つ上を目指して頑張りたい」と、祖父に追いつく、横綱まで上り詰める決意をにじませた。この日の朝、仏壇に手を合わせて「ありがとうございました」と、天国の故人に見守ってくれたことへの感謝を伝えたという。

31日の番付編成会議、臨時理事会を経て、正式に大関昇進が決まる。その後は伝達式。「謹んでお受け致します」で始まる、注目の口上については笑顔で「当日のお楽しみで」と、未定を強調した。ただ「かまないようにしないと」と、はっきりとした滑舌を心掛けるつもりだ。

大関昇進後、どこかのタイミングで祖父の「琴桜」のしこ名を改名する予定だが、昇進後、すぐに改名するかどうかも「当日のお楽しみで」と、いたずらっぽく笑い、伝達式まで熟考する計画だ。

佐渡ケ嶽親方は「力士になるために生まれてきたのかな」と、1人息子の成長に目を細めていた。千秋楽に涙を流して悔しがったことを受け「この悔し涙を、うれし涙に変えればいい。次は頑張ろう」と、声をかけたという。

今後の力士像について琴ノ若は「誰かのまねだけで強くなるとは思っていない。自分らしく。先代ではない、師匠でもない相撲取りになっていきたい。辞めるまで追及していきたい」と、胸を張って答えた。前日、わずかに届かなかった初優勝と、祖父の番付を目指す大関としての新たな相撲人生が始まった。