日本相撲協会のコンプライアンス委員会は21日、東京・両国国技館で会合を開き、宮城野親方(38=元横綱白鵬)を2階級降格と減俸の処分とする案をまとめたことが、協会関係者の話で明らかになった。弟子の幕内北青鵬(22)が日常的に後輩力士を殴るなどの暴力行為をしていたことが判明。監督責任を問う。2階級降格が決まれば、宮城野親方は委員から最下位の年寄に落ちる(再雇用者の参与を除く)。相撲協会の処分は7段階に分かれ、降格は解雇、引退(退職)勧告に次いで3番目に重い。北青鵬には引退勧告案とし、23日の臨時理事会で協議する。

協会関係者によると、北青鵬は他の力士たちの稽古中に財布から金銭を盗んだり、若い衆に暴行行為に及んでいたことが発覚。盗癖は学生時代からあったとの指摘もある。被害を受けた力士は、師匠の宮城野親方に相談していたが「ちゃんと対策を練ってくれなかった」という声も出ていた。同協会はSNSの書き込みを通じて事態を知り、聴取を始めていた。また別の関係者によると、師弟関係は既に亀裂が生じており、北青鵬が1月の初場所を途中休場した際には、宮城野親方と間垣親方(元前頭石浦)が「お前なんか土俵に上げない」と激しい口調で叱責(しっせき)していたという。

この日のコンプラ委には師弟2人が出席。取り沙汰されている一連の行為について、北青鵬は「素直に反省しています」とだけ話した。一方、宮城野親方は報道陣の取材に無言を貫いた。北青鵬がこのまま引退となれば、関取在位は12場所(初場所時点)にとどまり、国技館の土俵で引退相撲が行える目安の「関取30場所以上」に届かない。

◆日本相撲協会の役職 全てを統括する理事長がトップ。親方の理事は定員10人。以下は副理事、役員待遇委員、委員、主任、年寄、65歳の定年後も再雇用で70歳まで協会に在籍できる参与から構成される。理事長以外の理事は各部署の部長を担い、3人の副理事は副部長職などに就く。理事会に出席できるのは役員待遇委員以上。横綱、大関経験者は委員待遇から始まるため、元横綱の「平年寄」降格は極めて異例。年寄は館内警備などの仕事が主で、花形部署の審判部で勝負審判を務めることは原則としてできない。